かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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のれんとインパクト投資とESG投資

割と楽しみにしています。

これに関連してグダグダと書きます。
ESG投資の前にのれんの認識を明らかにしておかないといけないはずなので、のれんの説明が主です。
2024/04/04発売らしいので、04/03中に書いておかないと。

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のれんとは超過収益力の事で、現在の財務会計制度では企業を連結した際に認識されることになっています。A社が経営を長年続けていけたならばそこには何らかの顧客らステークホルダーとのつながりができるはずですが、現状、単独ではそれを認識できない(制度上、貸借対照表に計上できない)という事になっています。
B社がA社に出資するなり株式を取得するなりしてグループ会社としたタイミングで初めて「A社の純資産はこれだけなのに、こんなにも多くのお金を使って取得した(その金額でないと取得できなかった)。という事はそれだけの価値があるはずだ」という理屈です。
もちろんこれには批判もありますし、私は昔から納得がいっていません。M&Aの金額なんて口八丁手八丁でチョロチョロと、時にはドカンと動きますし、公平な評価としての時価の算定にはそれなりの「出来高」が必要だと考えるからです。経営上秘密裏に行われるべきものだという事は理解しますが、だから当事者同士の恣意性を排除できないものに頼るというのもスッキリとしません(最近だとスノーピーク?)。まだ株式市場の時価総額と比べたPBRをどうこう言う方がマシだと思います、が、それだと上場していない企業や出来高が低い企業の価値算定はリスク(振れ幅・理論値からの乖離)が相当高い事になります。
また、古くはブログ、現在だとYOUTUBEチャンネルが売買されています。そこではEBITDAが使われます。(EBITDAとは税引き後利益から税金と支払利息、減価償却費などを差し戻して、大体毎年どのくらい儲かるものなのかを示したものになります。国によって大きく違う税や利息、減価償却の影響を排除することで国際間比較が容易になります。文脈上の話では関係ありませんけど)つまりストックではなくフローベースで売買金額が算定されているという事です。また、私は実際に立ち会った事はありませんが企業のM&Aの場合もEBITDAを元にして金額算定されることが多いとの事です。

これらから、現状の「のれん」は妥協の産物とはいいませんが、それに代わるものがないから一時しのぎに使われている。実務上の経験則や交渉結果の産物を後付けで使っているというのが私の認識です。

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会計は企業活動を認識し測定し記録し報告するものです。

認識できるけれど測定できない、測定できるけれど記録できない(すべきではない)、記録するけれど報告できない(すべきではない)という、それぞれの段階でふるい落とされる要素があると思うのですね。

例えば、ESG上のガバナンスの堅牢性なんてどうでしょう?
せいぜい監査役や外部取締役のネームバリューや経歴、時には人数だけを見て判断するしかないのではないでしょうか?外取が100人いたとしても名ばかり・籍をおいているだけであれば意味はありませんし、素晴らしい手腕を持っていても、我々情報を利用するものがそれを評価できるだけの審美眼(見る目)があるかは怪しい所です。
逆に、悪魔の代弁者よろしく「やってる感」を出しているかのように経営のスピード感を殺す人もいるかもしれません。特にスタートアップではスピード感こそが命のはずなので、そういう人ならばいない方が企業価値は高まるはずです。こちらも先ほどと同様、我々がそれを評価できるかどうか。
また、素晴らしい外取がブレーキを適切に踏んで一部経営陣の暴走を止めたとします。果たしてそれは表に出てくるでしょうか?記録は内部で行われているかもしれませんが外部に報告されることはなさそうです。表に出たとしても数年後、数十年後の話であり、その客観的な評価もまた同じくらいの時間軸でしか行えないでしょう。

のれんの難しさがここにあるかと思われます。存在自体は誰もが認識しているようではあるけれど、ヌエのようにつかみどころがなく、皆が納得する情報の公開、特に金額換算した情報の報告は難易度が高いのです。

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具体的に見ていきましょう。簡単な例を考えます。

企業が広告を打ちました。これはブランドイメージを創り維持するものです。化粧品やブランドもののCMをイメージしていただければと思います。

(広告費)100万円(現金)100万円

というのが普通の会計処理です。費用が発生し資産を減じることで支払った、という意味です。
ここで、「この広告費はブランドイメージの創出及びその維持に使われるもの」という点を重視すると、次のような仕訳も一理あるはずです。

(広告費(費用))90万円(現金)100万円
(ブランド(資産))10万円

ここでの(ブランド(資産))10万円がのれんであり超過収益力であり、純資産と株式時価総額の差を埋める部分になります。

もちろんこの処理には問題があります。
・(ブランド(資産))の金額が適切か?
・広告の累積効果を考えた場合、費用が発生したタイミングで計上するのが適切か?
・のれんの構成要素全てにおいて上記を行わなくてはならないが、それは実務上現実的か?
・ブランドが毀損(製品の不良、CM起用芸能人のスキャンダルなど)した場合、減損させるのが適切だと思われるが、元となる金額が適切であると言えないのなら減損もできない
・費用の資産化を行うというのが上記仕訳の本質である為、利益操作に利用される恐れがある。

こんな簡単な例でものれんの算定が難しい事がよくご理解いただけるかと思います。

例がコロコロ変わってわかりづらいというのでしたら、先ほどのガバナンスの例でも結構です。広告費を外部取締役や監査役の報酬と置き換えれば同じです。

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では、インパクト投資とESG投資なのですが、ESG投資はまさにこのインビジブルアセットに対しての投資と言えるでしょう。一方でインパクト投資は少々毛色が違っていそうです。

インパクト投資は私がざっと見る限り、個人の一般投資家が手を出せるものはおおよそ限られており、P2Pレンディングサービスだったり発展途上国へのビジネス投資が多いようです。発展途上国では銀行口座さえ作れない人が多い、そんな話は有名です。だからスマホさえあれば(電話番号さえあれば)送金できるサービスが発展したりしています。そのような国では銀行を介した間接金融という手段が取れないため資金繰りが悪く、次の一手に投資をするにしても時間がかかるという場合があるでしょう。そこにインパクト投資による資金がハマれば高い利益を生み出します。発展途上国新興国は概ね利率が高く成長率も高いからです。もちろん失敗するリスクは高いので、未公開株に投資するようなものかもしれません。それらを考え合わせると、オルタナティブ投資としての意味合いもあるかもしれません。
が、2020年の感染症に端を発する不景気の時期に、インパクト投資は大いに影響を受けました。株も債券も下がった時、同じような値動きをしない事を意図したオルタナティブ投資としてのインパクト投資商品は意味をなさなかったのですね。私個人の話としては普通の投資消費により影響が大きかったのです。

インパクト投資においても、太陽光発電だのなんだのに投資をするファンドも組成されているようですが、それはESG投資と区別する意味があまりないのではないかと思われます。

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駆け足になりましたが、ESG投資とインパクト投資についてでした。

・どちらも目に見えないものに投資をしているのは同じ
・ESG投資はのれん・インビジブルアセットに対する目利きが必要
インパクト投資は未公開株への投資と同じ意味合い

ではでは

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