最近ストック型ビジネス、フロー型ビジネスなんて言葉を聞きます。
どちらがいい、ということもなく形式の違いなのですが
現状、ストック型ビジネスの方が好意的に受け取られているようです。
ストック型ビジネスは継続的に収入を得られるビジネス形態
フロー型ビジネスは単発的に収入を得られるビジネス形態です。
では、そもそもの、ストック・フローとはなにか。
会計の基礎的な概念を通して考えてみましょう。
そして、個人の生き方にあてはめてみたいと思います。
株式会社を前提とした説明になる点を、まず、ご了承ください。
株式会社では株式を発行して現金をあつめます。
株式(純資産と書かれた四角部分)を発行することで
・もの(株式)自体は外部に渡されます。(右への矢印)
・その対価として、現金が企業に流入します。(左への矢印)
多くの場合、純資産を裏付けにした現金だけでは運転資金が足りません。
そこで主に銀行からお金を借ります。借金です。
右下の四角「純資産」という名前でした。現時点でここは「株式を発行した価額」です。
株式を受け取った人は株式市場で株式を売買して資金を回収します。企業は株主にお金を返さなくていいのです。
・その返さなくてもいい部分を裏付けにして借金をします。(上への矢印)
・借金の額だけ、現金が企業に流入します。(左への矢印)
左側の四角二つは、理由は違いますが、現金です。一つにしましょう。
すっきりしました。
現金は会社にとっての財産です。会社にとっての財産を「資産」といいます。
右下の四角は「純資産」ですが、昔は「資本」といいました。(会計外のビジネス上、資本という言葉の意味は文脈によってかわります。ここでは触れません。)
資本と負債で、資産が作られている。
貸借対照表(バランスシート B/S)と呼ばれる表で「ストック」を表します。
一時点で何がどれだけあるのかを言い表せられます。
この資産、現状すべて現金ですね、現金で商品を購入して売って利益を上げましょう。
それを図にするとこうなります。
商品は現金と同じく資産の一部です。商品を現金で買ったということは、下の大きな四角の資産、そのうちの現金が商品に置き換わったと図示できます。
商品を顧客に売りましょう。
商品という資産が上の大きな四角に移動します。上の大きな四角では商品という資産は費用となります。顧客から売り上げという収益を頂く理由・提供価値となります。
ここで、「なんだかプラスのイメージがある「資産」が「費用」というマイナスのイメージがあるものに置き換わるのは変」と思われる方がいると思います。
次のような考え方をしてみてください。
左側は、自分のもの。
右側は、自分以外のもの。
純資産はそれ自体(今の段階では)株式の発行額を表すもので、株主の株式取得価額です。
負債はそれ自体借金した額を表しており、銀行から借りた額、銀行が貸した額です。
資産は純資産と負債を根拠理由として取得した現金であり、現金で購入した商品です。自分の財産です。
費用は自分が顧客に提供する商品です。
収益は(ここでは売上です)、顧客が自分に対して払ってもよいと判断した価値です。
そして最後
利益は、顧客に対して提供した価値の総額(収益(ここでは売上))から、価値を生み出すのにかかった費用を引いた、差額です。もちろん自分のものです。
利益を出すことでストックが増えます。顧客に渡した商品以上の現金が入ってきます。それでストックが増えてさらに大きなフローを作ることができるようになります。
収益と費用の差額で、利益が作られている。
損益計算書(プロフィット・アンド・ロス・ステイトメント P/L)と呼ばれる表で「フロー」を表します。
ある一定期間で、どれだけ価値を創出し、それに対しどれだけのお金がかかって利益がいくら出たのか、を言い表せられます。
ストックは一時点での状況を、フローは一定期間の成績を表しています。
では、これを会社ではなく個人の生き方としてみましょう。
もう一度表を出します。
新卒で社会に出た人は、個人としての能力(身に着けた能力、何かを学習する能力、人柄、人脈、誠実さ)というストックを持っています。この時点では借金をすることもないでしょう。下の表=通帳、といってもいいと思います。人柄等は数値化できませんので。
社会で働きます。働いて顧客に価値を提供し、収入を得ます。
費用が個人が生きていく際、支出するお金、生活費等です。
収益が給料、手取り額、です。
その差額を貯金に回して、このサイクルを回していくことになります。
投資という手法に気づくと流れが少し変わります。
給料手取り額から、生活費を引いた差額を、貯金ではなく運用に回せます。
投資によってインカムゲインが入ってくるようになると、収益が少し上がり、利益が増えます。再投資することで複利が成立するのはみなさんご存じのとおりです。
いかがでしょうか?なんとなく頭でわかっていて適切な行動をとれている方も、既存の会計という仕組みにあてはめることで、流れをすっきりと整理することができます。
利益を多くするには
フローの観点からいうと
・低コストで大きな価値を生み出すこと
・創出した価値を高く買ってもらうこと
・無駄な出費を減らすこと
ストックの観点からいうと
・一定の現金は、保険としてもっておくこと
・何らかの運用手段でフローを生む資産に変えること
(その資産とは投資先だけでなく自己投資、すなわち
人脈の拡充、専門的な知識の研鑽、品性の陶冶などを考慮)
が必要なようです。
個人的には
何気ない日常の中で、その時々の幸せを感じられる感受性が一番重要な気がします。