かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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リスクに関して~算定~

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リスクはクスリじゃありません。

 

「リスク」を考えよう。

大切なことです。

時に、リスクを注意深く考えている人は、ネガティブ・行動力がない、と言われることがあります。私の意見は違います。リスクを見据えて勝算のあるシナリオを立てて(=戦略を立てて)行動するのがポジティブな人です。リスクを考えないのは現実から目をそらしているように思えます。いつまでもリスクを考えている人は、多分行動したくないんでしょう。

 

では、そもそも、リスクとは何でしょうか?

リスクを考えるとはどういう事でしょうか?

なんとなく使われている言葉を改めて考えてみました。

 

「リスク?そりゃあんた、被る可能性のある損失のことだよ」

このような理解が大勢を占めると思います。

しかし、一般的には正の方向への変動を含めてリスクと表現することがあるのです。

特殊な用例ではなく、一般的な用例です。

ボラティリティと同義と言えば、ここをご覧の皆さんには理解いただけると思います。

 

ここで、「得をしたのがリスク?なんか、変」と思われる方がいると思います。

わかります。

こう考えてみてください。

その案件にもっと「ぶっこんで」いれば、もっと儲けられたかもしれない。儲けそこなった。

機会損失です。

企業では、、、そうですね、商品が売れすぎたためにサポートが追い付かず、かえって顧客の満足度低下を招いてしまった、というのが例になりますでしょうか。

 

ですが、リスクという概念を使う際、いつもいつも機会損失を考えていると精神衛生上よろしくないです。

ここからは、リスクの用例から機会損失を頭の隅に置きつつ、一般的な「損」としてのリスクを考えていきます。

 

リスクをどのように捉えれば良いでしょうか?

教科書にはこのように書いてあると思います。

1)起こりうる事態を想定しましょう

2)その損失額と確率を算定しましょう

3)期待値を出して、損害額の期待値が大きいものに対して対策を打ちましょう

 (興味がある方は、PMBOKの「回避」「転嫁」「受容」「軽減」あたりを

  調べてみてください。)

 

果たしてこれでよいのでしょうか?

 

「杞憂」という言葉があります。昔の中国の人が「天が落ちてくる」と心配した事から「取り越し苦労」を表す故事成語のことです。

じゃぁ、天が落ちてくる損失額と確率を算定してみましょう。フェルミ推定で構いません。皆さんがどのように推定したのかはわかりませんが、損失額は膨大な額に、確率は限りなく0に近くなったのではないでしょうか?

しかし、確率が0でない以上、そして損失額が莫大である以上、期待値を求めるとそれなりの値が出るかもしれません。

もう一度事例に戻ります。

天が落ちてくる。

いやいやいや、これをリスクとしてとらえることはまさに杞憂。ナンセンスです。

ですので、確率がある程度想定できる範囲未満の場合は事例そのものを除外するという作業が必要になります。

 

ここまでは、感覚的にわかっておられる方がほとんどだと思います。

わかっておられる方は行動もされていると思います。

 

重要なのは次です。

出した確率と損失額は信頼できるのか?

 

ある案件に投資をしました。有限責任であったり、レバレッジをきかせていないのであれば、最悪のシナリオでも損失額=投資額です。ではその確率は?

 

読んでくださっているあなたが社長だとします。

部下が「ある事例の発生確率は58%、別の事例の発生確率は61%」と資料を提出してきました。

この差の3%は何でしょう?どっから出しのでしょう?その58だと61だのいう数字の根拠は?

 

私は確率については本当に眉唾で、せいぜい、「多分起こる」「起こるかもしれない」「起こるとは考えずらい」という三種類、+と-で考えるのであれば五種類になると思います。

(起こるとは考えずらい+、起こるかもしれない+ 多分起こる

 起こるかもしれない-、起こるとは考えずらい- です。)

(多分起こる、を+-二つに分けて6種類にするのも意味があると思います。

 偶数になるので事象が中央に偏りません。)

 

リスクを考える際は、確率を五分割して事例をそれぞれにあてはめる。

事例は相対的に発生確率が高いと考えられる順で書いておくと整理しやすいと思います。

順番がわかれば御の字です。絶対値としての確率にこだわらなくてよいと思います。

(基数的な順序でなく序数的な順序が得られただけでもso goodという意味です)

(A事例80%、B事例75%、C事例52%という並べ方ではなく

 ただ、A事例、B事例、C事例と並べましょうという意味です。

 絶対値としての確率を出す必然性に疑問がありますし、

 算定コストがもったいないのです。)

起こることが考えずらい事例も、資料には残しておき、できるだけ精緻に事象が起こったときの金額を算定する、という流れがよさそうに思います。

後にチェックをする際、どういう根拠で考慮外にしたのか、その判断は正しかったのかの材料にできます。

 

予測は根拠がないと、空想と同じです。その金額を出したのにどのようなプロセスを踏んだのかを残しておくと、今後に役立つはずです。

 

リスクは考える事が大事なのではありません。

認識して、優先順位をつけ、対処していかなくてはなりません。

エベレストに、ランニングシャツとジーパンで登る人はいないでしょう?

しっかりと準備をする、という行動をすることが大事です。

考えているだけでも思考力は伸びるかもしれませんがもったいないです。

 

まずは、リスクという言葉の意味合いを確認ました。

そして、リスクに対して、認識して優先順位をつける。

リスクの算定について、考えてみました。

 

リスクと十把一からげにとらえるだけでなく、

起こりうるのか、起こる可能性が高いのか、可能性は0ではないが考慮外としたのか

を記録しておき、後で反省する材料にできると良いことがあるかもしれませんよ。