かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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利子を考える

利子について考えます。

色々と話が多岐にわたります。

話題はころころ変わりますのでその点ご容赦ください。

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まずは、昨年話題になっていた逆イールドについて、どういうことかを書いておきます。

 

現象としては、短期債券の利率が長期債券のそれを大幅に上回るというものです。

それが起きると、18か月後辺りに景気後退が起こるといわれています。

 

一般にはこれで十分かと思いますが、せっかくなのでもう少し。

何かを知るだけでも有用ですが意味合いを理解することでその知識は意味があるものになると思います。ただそれは理解に係るコストとの兼ね合いがあります。お時間がある方はどうぞ。

 

で、ですね。まずは利息がどういうものかを書きます。

資金をリスクにさらしたリターンです。

 

返ってくる確率が高ければ利率が低く、その逆であれば高くなります。

これは、利率を高く設定しないとお金を借りられない、と表現するとわかりやすいと思います。

Aさんはしっかりしている人、Bさんがそれでもない人であれば、その他の条件が同じであってもAさんが支払う利息はBさんのそれより低くなります。

 

また、長期であれば利率が高く、その逆であれば低くなります。

これは、貸出期間が長ければ長いほど不測の事態が起こり返済が滞る可能性が高まる、と表現するとわかりやすいと思います。

同時に、短期の方が返ってくる確率が高いので利率が低く、その逆である長期であれば高くなるとも表現できます。

 

じゃぁ、逆イールドの意味はどのようなものか。

短期の利率が高く、長期の利率の方が低いのでした。異常事態です。

前述の表現を使うと、長期的に見れば返済の見通しが立つがそれ以前の状況で何か不測の事態が起こる可能性が高いと判断している、ということになります。

世の中って、個別にみると予測がつかなくても大きく考えると予測がつきやすい事ってあると思うのですね。昔の日本ですと、繊維や鉄鋼なんて斜陽時代にはさすがに予測がついたでしょう。それと同じように、世の中全体として長い目で見た場合発展してはいくんだろうが、近い未来は何が起こるかわからないという場合もあるわけです。

それが利率に現れたのが逆イールドです。

逆イールドだから景気後退が起こるというよりも、何か起こりそうな判断が短期貸出金利の上昇として現れるのですね。

 つまり、市場は近い将来、資金を回収できないトラブルが起こり得ると判断しているということになります。

私が理解している逆イールドを平易な日本語に直すとこのような感じになります。

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銀行の利息に付いて。

ある方のブログ記事で、銀行に利子がある事自体が不自然では?という問題提起がありました。かなり特異な話ではありますが興味深い記事です。

曰く、新興国でお金を預けられる保管サービスというのは、保管料を取る事業である。それを無料で、さらには利子をつけてまでくれるというのは異常だとも考えられる、と。

細かな文章は違うでしょうが、このような意味合いだととらえました。

 

一理ありますが、わたしはもう少し考えます。

 

既存の銀行モデルでは、預金(銀行としては負債)として集めた資金を貸し出して、その利ザヤから利益を上げていたわけです。

預金者の利息総額(円) = 貸出金利で稼いだ収益(円) - 銀行の資金調達・保管管理コスト(円)

です。

今、目に見えている預金者の利息は、左辺のみであり右辺は明らかにされていません。

現状、黙っていても預金はありますが貸出先が無い状況です。バランスが崩れている。

それまでは預金者の通帳や口座の維持手数料など吸収できていたコストが、貸出金利で吸収できなくなりました。だから、それまで無視してもよかった保管管理コストが有料化という流れになってきており、左辺でいうところの預金者の利息はマイナスになろうとしています。

それでも、まぁ、カストディ(資産預かりサービス)としての道は残されており、公的機関として受信機能を果たしていくのではないでしょうか?

その点で、前述のブログ様は預金者の利息の+から-への変化を指摘している点で新規性があります。

 

私からすると他にも利子の見方があります。

私は「預金者の利息 = 貸出金利 - 銀行の資金調達・保管管理コスト」と考えているのでした。

このようにも考えられます。「預金者の利息 = 貸出金利 - 銀行の資金調達・保管管理コスト + 預金者のデータ提供料

フィンテックの会社が現在利用者のデータを集めているのは、銀行の資金移動情報・個人情報の活用が「ハシリ」という認識です。この人はどこに勤めている何歳で、給料の支払いも、電気ガス水道の支払いも当行を使ってくれている、だから、住宅ローンの貸出金利はこれで!と決まるわけです。

預金者がデータを提供していると上記の見方でいいのですが、先述のように貸してもらう際の判断材料としてはデータを預かってくれている審査の材料にしてくれているとも考えられます。なのでそれのみでは左辺におけるプラスにもなりますが、融資が実行されればそれは銀行の収益になるので右辺のプラスであり、貸出金利に含めて考えるのが正解でしょう。

 

形を変えて、(インフレを考えない)元本保証の受信機関は存在し続けるというのが私の考えです。

P2Pを夢見ている人はおり、それは興隆するでしょうがそれは現状があまりにも普及していないからであって、個人でそこまで手間をかけられる人は少ないはずです。

そうなると、中間媒介者が存在する似非P2Pレンディング的な業者が存在することになり、それは銀行が形を変えたものと言って差し支えないと考えるのです。

 

銀行は形を変えて存在し続けます。P2Pだけにはなりません。

分業の原則に反する不自然な状況だからです。時間は無限に無いのです。

効率は良くなるので普及してくることは考えられますし、仲介手数料は稼ぎずらくなってくるでしょう。なので、新しい付加価値を付けざるを得ないはずです。

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次にファイナンスの観点から。

現在割引価値というものが存在します。

今の100円、来年の100円、どちらの価値が円建てで高いか、というものです。

教科書に書いてある正解は、今の100円です。銀行に預けておけば少なくともいくばくかの利子がつくので「100+利子」円になるのです。

だから、来年の100円を現在の価値に直すには「1+利息」円で割らなければなりません。再来年になると福利になるので「(1+利息)の二乗」円で割ることになります。

これがファイナンスの基礎です。

 

利息がマイナスになるとどういう事が起こるかというと、消費が増えます。

今手元に10000円があっても、明日には9000円になる。だったら今使おう、となるからです。生産者側は逆です。将来売ったほうが特になります。

需要>供給になり、インフレが起こります。

これは、うまく取引が成立しない意味でデフレと同じです。

 

ということは、利子というものは、日常生活で価格を意識しない程度で変動するのが健全だということになります。

 

100円のお菓子はきっと明日も100円です。原材料の変動や店の事情で厳密には何らかの変動があるでしょうが、その厳密性は価格を変更するコストに比べて低いので価格は据え置かれるのです。

どうにもならないときに、価格が変更されたり内容量が減少したりという変更が行われます。

 

 

なので、ある程度大きな金額、例えば100億円で考えましょう。 

貸し出すと資金調達コストがかかり、貸す側にとってはリスクにさらしたプレミアムとして正の利息が付くはずです。

一方でマイナス金利や銀行に預けても逆に手数料を取られるという状況になると、ファイナンスの基礎部分に影響があるのかなぁ?と。

そうなると自国の法定通貨建てで考えるのが基本ではなくなるかもしれません。

将来的には日本円で考えるのではなく、米ドルやその他全世界的なデジタル通貨建てで日本円のインフレによる減価を合わせて現在価値を算出しているかもしれません。

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というわけで、利息、というものを思いつくままに書き散らしました。

 

利息をマイナスにして考えなくてはならないときに、ファイナンスの世界はどのように変わるのか、どのように考えなくてはいけないのかはなかなか興味があるところです。

 

ではでは。

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