かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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Steemitを改めて調べてかんがえる

 

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先日の記事の続きを考えてみたいと思います。

ブログに限定した、良い情報を評価する世界を構築するために必要な設計について、でした。

ton96o.hatenablog.com

私の考えは、

まず、記事に対するクラスタ分けを迅速に行う必要がある。

そのクラスタに読み手、書き手、評価者がどれに属しておりそのレベルはどれほどなのかを評価する必要がある。

記事の陳腐化、有用性の変動にも考慮が必要

というものでした。

 

今後は、それらの仮説を踏まえたうえで、有力プレイヤーーの「Steem」と「ALIS」がどのような考えを持っているのかをまとめたいと思います。

今回の記事では、Steemitを取り上げます。

 

Steemは、価値ある貢献をする人に、その価値の大部分を仮想通貨の報酬で返すことで、ソーシャルメディアとオンラインコミュニティのサポートを目指しています。

Steemの設計において重要な点は三つあります。

一つ目、最も重要な原則です。貢献した人すべてがその貢献度合いに比例して報酬を受け取るべきというもので、株式配分の原則と同様のものです。

二つ目、全ての形態の資本が同じ価値を持つという事です。

三つ目、コミュニティがその内部のメンバーに対し、サービスを提供する製品を作るという事です。

Steemコミュニティはメンバーに以下のようなサービスを提供します。

・キュレーションされたニュースと解説のソース。
・個別の質問に高品質な回答を得る手段。
・USドルにペッグされた安定した仮想通貨
・無料の決済手段
・他のメンバーにサービスを提供する仕事。

Steemが向き合う課題は、個人の貢献を評価するためのアルゴリズムを導き出すことだと認識されています。Steemは貢献度を評価し報いるための実績のあるシステムは自由市場だと考えています。しかし「有料の壁」という問題点も理解されており、「あらゆる種類の貢献に効果的なマイクロペイメントを行えるように設計されて」いるそうです。

具体的には「読者は自身の財布から誰かにお金を出すべきかどうか判断する必要はなくなります。その代わりにコンテンツにプラスまたはマイナスの投票を行い、Steemはその投票によって個別の報酬を決定します。 つまり、人々は親しまれ幅広く使われるインターフェースを使うことができ、また経験的、財政的、そして従来のマイクロペイメントやチッピングプラットフォームに関する機会費用の問題を気にする必要はなくなります。」ということです。

つまりは、読者が良いか悪いかの投票というわかりやすい方式を採用し、それをもって評価方法の根本としているようです。

 

ここでSteemの三つの報酬形態を説明したいと思います。

ぎょっとされる方もおられるかもしれません。Steemは三つの報酬形態をもってその体系を維持しているのです。

1、STEEM

 一番基本となる報酬形態です。取引所での交換ができます。また、他のユーザーへの支払い方法として転送することが可能です。

2、SP(Steem Power)

 コミュニティとの長期的な関係をトークン化した形態だと理解しています。子のトークンを保有することで利子を得られます。さらに注意すべきことに、SPを長期的に大量保有することで影響力が大きくなります。公式より、「SPはSteemプラットフォーム内で、保有者に排他的な権限を認めるアクセストークン」とのことです。

 SPをSTEEMに交換できますし、その逆も可能です。前者は影響力を失うので「パワーダウン」と呼ばれ、後者は「パワーアップ」だそうです。SPをSTEEMにするには13週の時間が必要です。(その逆は即時反映されるそうです。)どうやらSPとして保持しておいてほしいようですね。

3、Steemドル (SBD)

 これは「Steem Blockchain Dollars」の略だそうです。米ドルにペッグされた通貨で、1SBDは1米ドル分のSTEEMに交換ができる仕組みになっています。その逆はできないようです。これは変換レートを利用した「悪用」から守るためだそうです。私は、投機的な売買でトークンの値段が乱高下したり不必要な交換が行われないようにするためだと理解しました。

 ペッグ通貨なので安定性が担保されています。公式によると「安定性はグローバル経済が成功するための重要な要素」だそうです。

 

投票の乱用について、公式で説明がありました。

一定期間で投票を乱発すると、その投票の有効性が低くなるそうです。

(バケツの中のカニ、という話がありました。有名な話なんでしょうか?)

 

支払いの分配について、公式では「ジップの法則」を例にとり説明しています。

>100万の項目があれば、最も人気のある100の項目が全体の価値の1/3に寄与し、

>次の10,000が別の1/3、残りの989,900が最後の1/3になります。

>n個の項目の集合の価値はlog(n)に比例します。

>この経済効果は宝くじに似ています。

>それは人々が投票を得る確率を過大評価し、報酬の期待値以上の仕事をし、

>それによってコミュニティのために行われる仕事量を最大化します。

>すべての人が「何かを獲得する」という事実は、

>カジノで人々が賭け続けるのと同じ心理を刺激します。

>換言すれば、小さい報酬によって、もっと大きい報酬を得ることが可能だ

>という発想が強くなります。

その支払いは「50%SBDと50%SP」です。後は当行の設定で100%SPと報酬の減額が選べます。

 

 

 投票の乱用の点など、工夫されているように感じましたし、公式においてマイクロペイメントについての記述など相当考えられているようです。ただ、詳しいアルゴリズムは開示されていないようで、それは運営が適宜変更するという事なのでしょう。評価アルゴリズムが最大の壁なのは私ですら考えつくことなのです。それをどこまで単純化した骨太の理屈で実現できるかが肝だと思うのですが、私は納得しきれていません。

 三つの報酬形態についても、いたずらに利用者を混乱させ、複雑な仕組みになっている気がしています。先回りして穴をつぶし、不正が起こらないように、または、安定した運営が可能なようにしていると見受けられるのですが、これがどこまで必要だったのかは私にはわかりませんでした。

 抽象的な言い回しが多く、具体例がないのは少々閉口しました。ホワイトペーパーはみんなこんな感じですよね。

 注意点として、Steemitは検閲がない代わりに、書いた記事を削除できないそうです。安易にブログとして使うのはよろしくないそうです。

 それにしても三つの報酬形態があり、それぞれが会計上どのように扱われるのか、特に西日本新聞に関連する税理士は大変だろうなぁと思います。(上場してないんですかね?)

 

私もSteemitをやっていますので、よろしければご覧ください。

 

参考

 Steemホワイトペーパー日本語版 / Japanese version of Steem Whitepaper — Steemit

 記事を書くだけでもらえる仮想通貨【Steemit(スティーミット)】とは – Sales Technology Lab

主に前者のホワイトペーパーを参考にしました。

後者の 記事は仮説の検証、間違いがないかという点の確認に使用しました。