かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

ALISを改めて調べてかんがえる~人の信頼性を可視化する~

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先日の記事の続きを考えてみたいと思います。

ブログに限定した、良い情報を評価する世界を構築するために必要な設計について、でした。

ton96o.hatenablog.com

私の考えは、

まず、記事に対するクラスタ分けを迅速に行う必要がある。

そのクラスタに読み手、書き手、評価者がどれに属しておりそのレベルはどれほどなのかを評価する必要がある。

記事の陳腐化、有用性の変動にも考慮が必要

というものでした。

 

今後は、それらの仮説を踏まえたうえで、有力プレイヤーーの「Steem」と「ALIS」がどのような考えを持っているのかをまとめたいと思います。

Steemitについては先日記事にしました。

今回の記事では、ALISを取り上げます。

 

ALISの特徴としてまず取り上げられるのは「⽇本初の分散型ソーシャルメディアプラットフォーム」であるという点でしょう。日本語でのやり取りが期待できるというだけで日本人の利用者が増えると思います。日本人がWEBサービスに与えるインパクトがどのくらいあるのかはわかりませんが、家電などは日本人が求める品質レベルが高いため、「日本人が認めた」という事がブランドになるとのこと、何らかの狙いがあるのかもしれません。MONAに見られるような日本人によるコミュニティの強さ、という点を狙っているのかもしれません。現実的に考えると、純粋に開発陣が日本人だから、という点が大きいと思います。

 

ホワイトペーパーによると「ブロックチェーン技術に関しては欧⽶諸国が先陣を切っており、⽇本ではメインプレイヤーがほとんど存在しない。加えて、⽇本の改正資⾦決済法により海外プレイヤーは国内事業を運営できず、国内プレイヤーについても事業者登録という⼤きなハードルを超える必要がある。これは⼀度⽇本において先⾏者としてのポジションを確⽴すれば、⾔語という壁が逆に強固なものになり独占的プレイヤーとしての⽴ち位置を確⽴することできる可能性を⽰唆している」とのこと。

やはり、日本での運営は開発陣が日本人だからという点が大きそうです。

 

STEEMから感銘を受け、広告、ステマ記事の排除を目指しているとのこと。それだけSTEEMの与えた影響が大きいという事ですね。ALISはSTEEMの問題点を二つ挙げます

1)報酬体系が複雑

2)日本語未対応

1)に関しては先日の記事でも取り上げました。三つの補修体系の事を言っています。2)に関しては説明はいらないでしょう。

そのうえでALISは

1)読み手が、多くの良質な記事に素早く到達できる
2)プラットフォーム価値がユーザに還元される
3)ブロックチェーンによりデータの⾼信頼性を従来よりも低コストで実現できる

 という三つの利点を推します。

 

1)を実現するためにはまずは記事を集めなくてはなりません。さらには書き手を集めなくてはなりません。言ってしまえば、玉石混合の中から玉を選別するロジックこそが命であるため、人を集め、記事を集め、選別事例を集め、インセンティブ形成の仕組みを固めなくてはいけないと私は考えます。

ALISの戦略はどのようなものでしょうか?

 

日本での成長戦略は

1)ニッチな領域におけるマーケットシェア確⽴(仮想通貨、マイナーなアニメ・漫画など)
2)あらゆる⼝コミサイトの領域に拡⼤する(飲⾷、旅⾏、ダイエットなどの⽇常情報から進学、結婚、住宅購⼊などのライフイベントまで)
3)蓄積された⼈の信頼情報をもとに、新たなサービスを展開する

まずは、記事を貯めなくちゃどうにもならん、という事でしょう。「仮想通貨」がテーマになることは順当として、アニメと仮想通貨ALISトークンの親和性はどうなのでしょう?そのあたりも4月のベータ版が開始されることによって明らかになると思われます。

個人的には、WEB小説やWEB漫画との親和性が高いと思います。彼らの中でもアマチュアの方は広告収入くらいしかなく、プロからお声がかかるのを待っている状態だと思います。これを機にアマチュアクリエイターに金銭的対価を稼ぐことができるマーケットを提供できれば相乗効果が発揮できるように思います。(そして、アマチュアクリエイターが仮想通貨をJPY化したり、ALISトークンに決済対応したお店が増えれば、ALISで生活できるクリエイターが増えたりすると、相当盛り上がると思います。)

ALISはフィードバックの重要性を理解しています。

「ソーシャルプラットフォームをグロースさせるのに最も⼤事な要素の⼀つは「ユーザからのフィードバック」である。」「⼈々は「まだ誰も評価してないが、将来評価しうる記事を真っ先に⾒つけ出し、⾃分がいちばん最初にいいねをすること」という⾏動原理にのっとって動くことが想定されるからである」

ALISは、まずは、仮想通貨に関する記事で記事をためることを意識しており「初期はあくまでも記事量が重要なため、良質な記事の作成者に多くのトークンが配布されるロジックを組み込む。しかしながらプラットフォームがグロースするにつれてこの割合は変更されるべきものであると我々は感じている。グロースのタイミングに適切なキードライバーが最⼤となるように報酬の割合に関するパラメータ調整を実施したいが、それを我々が⾏ってしまうと中央集権的になってしまう。よって、時期が来たら ALIS トークンを保有するユーザによる投票でどのようにパラメータを調整するかを決定したいと考えている」という、非常に仮想通貨界隈らしい、賛成できる意見を明示しています。

2)のカテゴリーの拡大については単なるメディアとしての多様化の意味です。しかしタグの自動付与が実現されたとすると、ここで相当パワーが必要になります。論点は過去記事で記載したこちらになります。

>例えば、自炊だとか。自炊の中でもなるべく安く作ることに詳しい人と、

>予算をある程度多くとって、たまに豪華な料理を作る、それに詳しい人は違います。

>大学生になり、始めて料理に挑戦する人の成長日記と、

>主婦歴25年、子供が手を離れた人の主婦の知恵としての料理ブログでは、

>まったくその性質を異にします。

>カテゴリわけがすんだら、書き手、読み手、評価者それぞれの面での

>レベルわけが必要です。

>気を付けなくてはいけないのが、上記例でいえば、

>「自炊を始める人たちの、専門家(料理が得意な人ではない)」

>というような点です。

>料理上手な人が、全て、自炊を始める人たちにとって

>いい情報を評価する審美眼を持ってはいないのです。

>むしろ、同じ立場、料理に詳しくなく、同じように苦しんでいたが

>この記事で役に立った、という共感を持つ人間の方が審美眼は高いと思います。

ここをどう解決するのかが注目です。

3)の蓄積された⼈の信頼情報をもとに、新たなサービスを展開する、という点については「⽇本において仕事を受発注できるシステムを ALIS に構築することを考えている」のだそうです。

「良い仕事をする⼈は良い情報発信を⾏っていることが多い。もっと直接的に⾔うと、良い仕事をする⼈は⼈から信頼されていることが多い」という仮説から実現できるのでは?とALISは考えており、私はそれに賛成です。

上記で私が例示した、アマチュアクリエイターは好例です。面白いWEB漫画を描いている方は、今後も面白いWEB漫画を描く確率が高く、定期的に休まず描いている方には信頼性が構築されます。ゆえに、お仕事も増えるでしょう。

 

ALISのプラットフォームは

・1種類のトークンで

・記事を書いた人と、「いいね」をした人に対して報酬が支払われる

 特に、良い記事を一番初めに「いいね」した人に対し、他の「いいね」をした人より多くの報酬が与えられる点が特徴

と理解している人は多いでしょう。私もその一人です。

ホワイトペーパーではSteemitと対比させて、より詳細に記述されています。

1)我々のトークンは⼀つでシンプルであることにより、プラットフォーム発展のルールもシンプルであること
2)あえて仮想通貨の不安定性を許容し、インフレ率を STEEM よりも抑えることで⻑期的なプラットフォーム維持を実現していること
3)最終的なゴールを「⼈の信頼を可視化する」ことにおき、国策と紐付けて推進するというビジョンを持っている

記事にタグをつけることができ、読者は書き手という点からも、タグからも記事を検索することができるらしいです。特筆すべきはタグの自動付与を検討していることです。これが実現できれば、大きな付加価値となります。最初はうまくいかなくて当たり前なので、最初から豊富な話題の記事を集めて、タグの自動付与の実験をしていただきたいですね。

より多くの人が認める記事を、作る、もしくは、発掘する、行為をした人をALISは価値と判断するようです。「ALIS トークンを多く持っている⼈であるほど報酬の量は増えていく。つまり、よりALIS トークンの報酬を得れば得るほどより良質な記事を⽣み出すもしくはより良質な記事を発掘するインセンティブが働き、更に良質な記事が集まるというグッドスパイラルを形成することができる」ここはSteemitでいうところのSPなのでしょう。PoS等と同じく保有することのインセンティブを効かせて、価格の乱高下を防ぐ意図が読み取れます。

ALISトークンの価値は私も気になるところではありますが、Steemit、GOLOSの例を挙げて、ビジネスモデル自体に問題はないとされており、それは私も賛成します。

また、国策と紐づけるとのことですが、労働力の低下も大きな問題でして、そこに注目するのであれば「○○に住む高齢者が働いて社会にできる貢献」とか「○○から日本に来た移民が何とか生活できるのを見守るブログ」とか、多方面のターゲットが見込まれます。前者に関してはPCやスマホに対するリテラシーが、後者に対しては日本語に対するリテラシーが懸念点です。

 

ALISはトークンの配布において以下の考え方を原則とします。

1)記事の作成者と評価者はどちらも尊重されるべきだが、記事を作成するほうが労⼒がかかるため作成者への配布割合を重くするべきである
2)記事の作成者は⾃分が投稿した記事がいいねを集めれば集めるほどトークンを配布される。同様に、記事の評価者は多くの⼈がいいねと予想する記事を評価するほどトークンを配布される。
3)トークンの配布量やロジックは、プラットフォームの発展に伴い変更すべきである

3)についてはちゃんと「コミュニティよりこのパラメータの調整を要望された場合、ALIS トークンの所有量に応じた投票を実施し、コミュニティの総意(51%以上の同意)を持ってパラメータを変更する運営⽅法を取ることを将来的には検討している」とのことです。安心しました。

検討で安心していいのか?という懸念もありますが、モノ自体がベータ版ですし、ALISを何かの拍子に大量に持った人のオモチャにされても敵わない。運営がコントロールできるよりは残しておくべきという考えもあるのです。どのタイミングで要望できるのか、それが議題に上がるのか?という点は疑問です。

不正に対する対応策も、今のところは納得できるものです。しかし、記事に対する評価に「時間」を考慮するのは、あくまで対象が記事だからですよね?写真主体の記事だったどうしましょう?猫の写真で、「うちの猫、上手に遊べるようになりました」みたいな感じの記事です。おそらくその記事の価値は写真であり、文章は短いものになります。たとえ文章であっても、すごく短い文章で人に刺さるものを書く人が現れたらどうしましょう?例に挙げた記事は短時間で読み、評価できる記事のはずです。

また、これから伸びる人を採掘した人にも報酬を与えるので、後発の人にもチャンスはあるとはいえ、やはり先行者利益が大きい気がしています。その部分のバランスをどうとるのか。さらには、文章の陳腐化・状況の変化に対して評価をどのように調整するのか。読み手が有益な記事にいち早くたどり着くためには必要な論点だと思います。

懸念はなくはありません。

 

ALISのホワイトペーパーはSteemitに比べて非常に読みやすく、具体的なものでした。お時間があれば皆様も読んでみてはいかがでしょうか?

15章の「お金の使い道」という文言が個人的には好きでした。

疑問点は

・国内事業者に認可されるために25%必要なのかな?であれば、そのやり取り自体が記事にあってもいいのではないだろうか?今後の国内事業者認定する人にとっての参考資料になり、ALISに有料記事が一つ増えることになる。

・法務はわかるが経理に対してそこまでお金がかかるかな?かけるべきかな?バックオフィス自体はコストセンター。業務が回ればそれでいいいはず。法務に関しては問題が発生するはずなので、プロパーを育てるべき経理に関してはアウトソーシングにすべきだと思われる。

ユーザーサポートの強化が懸念点であれば、それ自体をALISの記事にしてしまえばいいんじゃないかな?ってか、そのサポート記事を書いてくれる書き手を優遇してしま鵜という方法もある。換言すれば、その時その時でALISコミュニティの役に立つトピック記事なんてものがあってもいいんじゃないかな?

とか、ありますが。事情を知らないので黙っておきます。

ホワイトペーパーの最後が、富岳三十六計。このアイデア出したの誰だろう?こういうの好きです。

 

ご存知の方も多いでしょう。ALISはベータ版を4月に出します。現状参加者を募っている状態です、迷っている方がいらっしゃれば、応募してみてはいかがでしょうか?私はすでに応募済みです。ALISとしてはまずは仮想通貨関連の情報を集めたいようですが、私はあえて別のジャンルを書く、と宣言しました。それが吉と出るか凶と出るかはわかりません。ジャンルが偏ると危ないと思いますし、タグ付けを自動化するのであれば、多様なジャンルがあってもいいように思います。(実験に使ってやってください)何より私では仮想通貨の世界では多分戦えませんので(笑)

 

参考情報

ALISホワイトペーパー日本語版

https://alisproject.github.io/whitepaper/whitepaper_v1.01_ja.pdf