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Amazon独自トークンについて考えた

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先日は、楽天の仮想通貨進出に関するニュースに応じて楽天独自トークンについて考えました。

ton96o.hatenablog.com

そこでは
・顧客から受け取った楽天トークンを、仕入れに使える経済圏が創出できる。
楽天モールを中心とする国際的な経済圏創出の橋頭保になる。
出店者にリターンを与えられれば相乗効果が期待できる。
・ポイント関連の一本化に使える。
楽天証券が仮想通貨市場に入り込めば楽天トークンの価値はさらに上がる。
法定通貨ペッグする仕組みが整えば、価値はさらに上がる。(「使いで」があるため)

という内容でした。

 

 今回は、Amazon楽天の異同を通じて、アマゾン独自トークについて考えます。

 

まずはこちらをご覧ください。

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・アマゾン独自の領域をA

・アマゾンと楽天が同じことをやっている領域をB

楽天独自の領域をC

・アマゾンも楽天もやっていない領域をD

としました。

上記分類に合わせて、まずは現状の二社の概要をまとめます。

 

アマゾンがやっていること(領域A)

クラウドサービス(AWSACW

・FireやEcho等の家電

・ワンクリック(1-Click)特許保有

・映像コンテンツの製作部門保有

無人コンビニ開始

・宇宙事業(ブルーオリジン

 

 

アマゾンも楽天もやっていること(領域B)

eコマース

・映像・音楽コンテンツ

電子書籍

アフィリエイト

・ポイントビジネス

・クレジットカード

ドローンを活用した配送サービス

・出店者へのレンディング

 

楽天がやっていること(領域C)

eコマース出店者の運営支援

・証券、銀行、保険という金融事業

ポータルサイト

プロスポーツのスポンサー、オーナー

O2Oサービス(WEBで宣伝、リアル店舗で買ってもらうという形態です)

・組織体制がカンパニー制

ブロックチェーン技術研究所保有

・健康関連の研究所保有

MVNO事業(インフラを借りて行う通信業、ざっくりいうと携帯電話の参入です)

 

 

箇条書きで整理しました。

これにより、Amazon楽天、双方でやっている点は前回の記事の内容が採用できるはずですし、Amazonのみがやっていることがアマゾン独自トークンの強みになります。

 

ざっと見まわして、eコマース系は一通り同じような事業内容になっています。

しかし、Amazonは消費者が直接の顧客であり、楽天は出店者がそうである点に注意が必要です。

これは消費者志向は相対的にAmazonの方が高くなることを意味しており、それは物流センターへの投資額にも表れています。(Amazonの方が大規模な物流センターを持っています)

 

次に、アマゾン独自トークンを考えていきましょう。

eコマースが主戦場になることを考えると、決済系のものになるでしょう。

そして米ドルをペッグしたstableCoinになるはずです。

利用者の点で、Amazonは3億人弱、6000万人弱。資料は古いですが、Amazonの絶対的ともいえる利用者数が見て取れます。

仮想通貨はネットワーク外部性を有するものだと考えられますので、この圧倒的な利用者数はAmazonにとって相当な武器になるはずです。一方で、マイクロペイメントになりますので相当な取引量が見込まれます。設計によってはDAO等の技術が必要になるはずです。(DAOにこだわるわけではありません、取引量を捌く技術が必要です)

クラウドサービスを前提とする、インフラ及び顧客を保有している点もAmazonの大きな武器なのですが、私には独自トークンにおいての差別化要因にはならないように思えます。逆にクラウドサービスを利用している顧客と、eコマースを利用している顧客で独自トークン利用者としての性質が違うものなのでしょうか?クラウドサービスを利用している人がAmazon独自トークンを利用するにしても決済系のものになると思うのです。

さらには、Amazonはまだ金融関連に進出していません。つまり今後発展の可能性があります。

銀行に進出するとなると、ペッグ通貨を作りやすくなるでしょう。

証券業に乗り出して仮想通貨交換業をやるとなると、そこでは、バイナンスのBNBと同じく、独自トークンが基軸通貨の一つとなるでしょう。

保険業に乗り出すのはあまり考えられませんが、そこで使うとなると単なる決済系ではなくスマコン利用の契約系仮想通貨になるはずです。

 

証券としての性質を持つようになるかどうかは設計次第ですが、

政府管轄のお役所にお伺いを立てなくてはいけないようですので、幅広い機能を予定しておいてもいいのではないかと思ってしまいます。

 

そもそも仮想通貨ではなくポイントで良いのだ、という主張もあるはずです。

しかし、国際決済という点を考えるだけでも仮想通貨である意味があります。そして、例えばアメリカアマゾンでしか手に入らないものを日本の私が購入する、ということも支払いがアマゾン独自トークンであればコストの面でやりやすいはずです。アマゾンお得意のリコメンデーション機能が国をまたいで行われるかもしれません。

(ギフト券は購入した国でしか使えないそうです。

 ポイントもAmazon.co.jpで付与されたものはAmazon.co.jpでのみの利用となるようです。)

 

サーバーと技術力があるからアマゾンの独自トークンは脅威だ、という意見を見かけました。

それは私にはピンときませんでした。

私は、Amazonの武器は既存の膨大な顧客と価格設定の根拠となるデータ、流通網にあると考えています。

サーバーは確かに持っていると思いますが、クラウドサービスに利用しているはずですし、サーバー運用のノウハウが強みだとすれば何に利用するのかが重要なはずなので、その点の言及が必要です。それにGoogleもかなりのものをもっていてPythonで頑張っているはずです。技術力に関してもGoogleとの対比がないのが不思議です。

また

Amazon独自トークンで利息のようなものをもらえたら嬉しい、という意見も見かけました。

これも私にはピンときません。

そもそもAmazon株が無配です。今後の成長に投資しているためであり、株主はキャピタルゲインを狙うことでそれを認めています。株式は無配でトークンは配当アリ?そんなチグハグなことが起こるでしょうか?これが、Amazonと伍して戦う相手との、トークン利用者争奪戦が予想されるのであれば戦略としてわかります。現状ではそんな設計にしないと思います。Amazonは長期的な戦略を大事にする会社で、トークンを発行するのであれば長期的な利益の追求を目的としているはずだからです。

 

アマゾン独自トークンに対しては、

楽天独自トークンのように一つの経済圏を創出する為、多種多様なサービスを一つにまとめるという役割は期待されないでしょう。

決済系のトークが設計され、多くの利用者を基盤としてシェアを奪取するというシナリオが考えられます。

 今後のアマゾンの戦略、例えば銀行業への参入であれば、さらなる相乗効果が期待できます。

 

参考

 楽天オフィシャル

 アマゾンオフィシャル

 アマプライム

 Amazon WIKI

 CryptoCompare

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