かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

企業保有の仮想通貨に対する会計基準について考えた

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今回は仮想通貨が企業会計に及ぼす影響について考えたいと思います。

 

まずは、日経の記事のまとめをします。

2019年3月期から適用

・期末に時価評価、「最も頻繁に利用している交換所の価格」で算定

・取得原価を下回る場合は損失計上

・仮想通貨の取引記録に協力して報酬を受け取る採掘(マイニング)も対象

ICO関連や自社発行の仮想通貨は今後の対応を検討

これに対する私の疑問は

1)最も頻繁に利用する取引所の定義は原則主義でよいのか?

 つまりは、細かいルールは決めなくてよいのか?

2)一発で法定通貨に換えられない仮想通貨の場合はどう算定するのか?

 

3)送金による目減りは何になる?仮想通貨の損失でOK?それとも一般管理費

 損益計算書の、営業利益に影響があるか、経常利益に影響があるかが変わる。

4)マイニングの原価はどうなるか?

 

日経新聞からの私の疑問を説明していきます。

1)どこの取引所の時価?

会計の世界ではルールがあります。

昔は細かくルールを定める細則主義というやり方でした。これをやると、ルールを熟知して裏をかくずるい人が出てきたんです。それが巨額な事件になりまして、トレンドが変わりました。原則主義の出現です。ルールは必要最小限、各企業がフェアに財務諸表を提出するのが目的です。

さて、最も頻繁に利用する取引所というのは、ブレさせようとすればブレるんです。回数でしょうか?金額でしょうか?「頻繁」という記述なのだから回数、ですか?それは、1億円の取引1回したところより、1万円の取引を2回した取引所の方が価格算定取引所としてふさわしいということですよね、なぜです?

また、ETHはA取引所で、XRPはB取引所で取引している場合、「XRPはBの価格を使う」で問題ないと思います。しかし、BでXRPを購入するのに別の仮想通貨でETHを買い、ETH建てでXRPを買っているとするとどうでしょう?

Aの価格を使うのもBの価格を使うのも一理ある気がします。

すべてETHはAで買い、Bに送ってXRPを買っているのなら話は簡単なんです。

2)換金ルートが複数ある場合の懸念

対象仮想通貨→仮想通貨A→JPY

対象仮想通貨→仮想通貨B→JPY

どちらを選択するのかでJPY建ての価格が変わることは、ままあります。

会計では保守主義の原則という、迷ったときは利益は認識しないように損失は認識するようにする原則があります。数字をよく見せようとしてないからいいじゃない?という話です。しかしこれは利益操作と表裏一体で、財務諸表利用者を混乱させたり税務署ともめることもあります。

3)送金の目減りは何費用?

会計の基礎知識はこちら、「ストックとは?フローとは?」をご覧ください。

フローを表した損益計算書の話になります。実は利益には種類があります。売り上げから原価を引いた売上総利益、本業にかかる費用を引いた営業利益、本業以外の損益を加味した経常利益、イレギュラーな損益を加味した税引前当期純利益

株式投資をしてらっしゃる方はお分かりの話ですが、この論点は営業利益以下に影響を与えるか、経常利益以下に影響を与えるかの違いがあります。

仮想通貨の使途が投資であれば営業外費用で問題ないと思います。しかし、本業にかかわる仕込み、例えば保険会社がDApps開発のためにETHを購入した、という場合どうなるのか、が気にかかります。

仮想通貨の評価損益自体は、原則主義に乗っ取り、営業外損益でも特別損益でも話が成り立つと思います。決めの問題です。上記保険会社の場合ですと営業外がしっくりくると思いますし、会社の財務部門が財テク(古い言葉です)をやって対象仮想通貨が暴落したのであれば特別損失になる可能性があります。

4)マイニングの原価はどうなるか?

細かい話です。マイニングを行う電気代を、この金額分だけマイニングに使ったと証明できるのか?という話と、マイニングに利用したPCのモノとしての負担度合いを証明できるのか?という話です。おそらく認められないだろうな、と私は考えます。

費用が認められず原価0円の仕入れ、となり利益が多くなって税金が多くなるという流れです。PoSもPoIもそうなるだろうな、と。

 

情報元のASBJに行って調べてみたのですが、肝心の「仮想通貨に係る会計上の取扱いに関する指針」は会員ログインしないといけないようでして確認できませんでした。

 

会計は、経済と実務と法律の交点にあります。

今後の動向が変われば、会計基準は変わる可能性が大いにあります。

国際的にみても仮想通貨をどう扱うのかは手探りの状態です。

財務諸表にも影響を与えるとなると、仮想通貨投資をしていない方も、仮想通貨にどのようなカテゴリがあり、どのような会計基準ができるのかは理解しておくべき事柄のはずです。

今後の動向に引き続き注目が必要です。

 

参考情報

 日経新聞

 企業会計基準委員会(ASBJ)