かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

わかりやすいマーケティング戦略、を読むべきだという話

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少しずつ本を紹介していこうと思います。

本棚を見ればその人がわかるといったのは誰でしたでしょうか。

本は人の好みが出るものだと思います。

ですので、ひとまずは、私の好みではなく、広い範囲のこのブログ読者の方にお役に立てるよう、私が持っている本の中でも何回も読み直している本をお勧めするつもりです。

 

今回は「わかりやすいマーケティング戦略」です。

いつのまにやら新版が出ていました。

私が持っているのは古い本なので、少し内容が変わっているかもしれません。

そのあたりは割り引いていただければ幸いです。

 

さて

本書の著者は、大変頭の良いTHE研究者であり、カジュアルな流行りトレンドをスマートに解説するような方とはその性質を異にします。骨太な大学教授です。

アカデミックな香りは本書のそこかしこに見て取れ、本書が経営学部・商学部系統以外の例えば理系の方にも向けられた、基礎を丁寧に解説していく初学書であることを説明しただけの「はしがき」からも、その一つをうかがえます。

著者は戦略論が専門であり、「戦略の専門家が書いたマーケティングの本」であることを自認しておられます。だからこその特徴もあり、普通のマーケティングのテキストとは風味が違います。

 

大学時代の忘れられないエピソードです。

この本を引き合いに出して、マーケティング専門の教授曰く「戦略論の人がマーケティングの事をよくわかってる

これほどの賛辞があるでしょうか。

 

なので、マーケティングなんて関係ないもんね」という方にも手に取っていただきたいのです。

 

 

イントロダクション

これだけで一つ講義ができる内容です。

グレシャムの法則に始まり、戦略とは、考えることの大切さを説いたうえで、どのように考えるのかを解説します。この部分は本書を読み進めるうえでの大前提になりますので、繰り返し読まれることをお勧めします。

 

本書は二部に分かれており、まず第一部が以下の内容になっています。

第1章 マーケティングミックス

第2章 ターゲット市場

第3章 製品ライフサイクル

第4章 競争

に対して、著者の「フィット」という概念を中心に据えて話が展開されます。

著者はフィットする、させるための道具としてのマーケティングを解説します。

 

第1章では、4Pの概念と、その具体例を説明。

第2章では、ターゲット市場のセグメンテーションとその具体例。

第3章では、製品ライフサイクル仮説を中心にして、AIDMAや〇〇の難しさを解説

します。(〇〇が何かはご自身でお確かめください。このブログにもその内容は書いてあります。

第4章では、競争市場地位別のマーケティング戦略を解説します。

 

ここまででおなか一杯かもしれません。

特に理系の人は、新しい知識が一杯という印象を受けるでしょう。

しかし、残念です、その認識は誤りです。

経営学は単語を覚えて、ケーススタディを覚えて、それで経営学の実力が上がるというものではありません。

(もしかすると資格試験の点数は上がるかもしれませんね)

大事なのはロジックです。論理性です。

どういう前提があって、無理のない流れに乗ると、こうなる。

緻密なその繰り返しで一つの理屈は成り立ちます。

簡単に「AIDMA?知ってるよ!」なんて言わないでください。

 

AIDMAは消費者が購買に至るまでの心理ステージを表したものであり、現代マーケティングの基礎となります。M=メモリーは通信販売での電話注文など、無い場合がありAIDAと呼ばれることもあります。注意しなくてはならないのが。最終的に購買(A=アクション)してもらうためにはその前段階の顧客にアプローチをかけなくてはいけませんが、その区別が難しい事です。

A,注意をひかれている

I、興味を持っている

D、欲しいと思っている

いかがでしょう、ぱっと見で、顧客がどのステージにいるのかわかりますか?わからないと思うのです。

では、どうすればいいでしょうか?自分のアタマで考えよう、と言いたいところですが、私の考えを書いておきます。

顧客との対話・コミュニケーションです。それによって、仮説を検証します。さらにはコントロールしてDの段階に持っていくのです。

現代ではSNSの交流などにより、AISAS、さらにはそれすら古く、DUAL AISASという概念もあります。興味がある方は調べてみてください。

 

第一部ではマーケティングの基礎知識を解説されました。

第二部は著者の土俵、「わしの出番じゃ!」といったところでしょうか。

戦略論をバシバシと出してマーケティングと絡めていきます。

第二部が本書の要諦ではありますが、それは第一部の知識が腑に落ちていて実を結ぶものです。何回も読むといいと思います。

第二部でのキーワードは比較だと思います。

業界内での自社、自社内での各事業分野、さらには、as is(現状)と  to be(理想)

それらを問題として論理を重ねます。

 

第5章 業界の構造分析

第6章 全社戦略

第7章 事業・ドメインの定義

 

第5章ではポーターの5つの競争要因を基に、図5-6で基本を提示します。この章で一番大事なのは、最後に書かれてある注意事項だと思います。

第6章では全社戦略としてPPMを使います。金のなる木とか出てくるアレです。ここでも最後の注意点が一番重要です。PPMの特徴を把握しましょう。道具はその特徴をとらえてこそ、上手に使うことができるはずです。

第7章では事業・ドメインの定義について、考えます。ここは経営学商学部の学生でも軽視しがちなところなのですが、実務では意外と重要なところになります。法的なところでいうと定款に何を書くかということになりますし、従業員に対し自社の存在意義を説明する土台となります。ここがあるから競合を把握することができ、ここがしっかりしているから未来に走ることができるのです。

 

終章で筆者は再度、本書のおさらいをし、イントロダクションで説明されたあることを再度説明します。そして集中について論じます。

資源を集中させるというのは、大学生ならば一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

ここで改めて集中について考えていただければと思います。

 

理系の方は、経営学なんて用語を覚えるだけの簡単なものだと思われるかもしれません。

学問としての経営学は論理の積み重ねであり、決して簡単なものではありません。

実務としての経営学は基礎知識を大前提としたうえでの「実行力」が必要になります。決して簡単なものだとは思いません。

(余談ですが、まったく勉強されてない(と思われる)競合に対し、案を練ると混乱するときがあります。)

商学部経営学部の方はもちろん、文学部や理系の方にまで、幅広くお勧めできる本です。

本書は、文章の一つ一つ、そしてその構成まできれいに整えられている点でもおすすめです。

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