建設業界について調べてみます。
過去に「不動産業界周辺について考えた~2018年~」という記事を書いています。
その建設業界版です。
建設業界は51.6兆円産業だそうです。
オリンピックバブルがそろそろ終わるところでしょうか?
工事進行基準がとられているので、売上高としては後々まで上がってくるとはしても、契約としては、次を探しておかないと厳しいように思います。
しかし、本書を読むにそうでもなく、むしろ大手は工期の長い受注残が残っており、準大手以下マンションや物流施設などの工事が多いそうです。
むむむ、予想は外れました。
工期まで知っているわけではないので、2020年前までに完了する工事が多かろうという予測が根拠だったのですが、そうでもないんですね。
しかし、これはオリンピック景気以降に完成する建設物に需要があると見込まれているわけで、その需要予測がくるっていると危ないのでは?
本書では、老朽インフラ更新やリニア中央新幹線、再開発などを挙げられていましたが私は懐疑的です。
都会のごく一部、輸送ラインの動脈はそれでよいでしょう。
多くの地域では老朽化されたものは解体され、空き地となる感覚です。
新しいものを作っても需要がないのでは?というのが私の考えです。
むしろ安全に、安く、手早く、除却し更地にすることこそが求められる今後のノウハウではないかとすら思います。
上場企業の平均年収でいうと、ベスト50に入っているものはなし。
40歳モデル年収でいうと不動産と同じ程度の670万円。
不動産業界と建設業界は交差する部分も多いので、この値には納得できます。
詳細を読んでいきます。
ゼネコンという言葉を聞いたことがない方はいらっしゃらないでしょう。
では、どういう事でしょう?
General Contractor の略で、総合請負業者を意味します。
Specialist Contractor(専門工事業者)や Subcontractor(下請業者)の対義語となります。
(これも一つの説だそうです)
スーパーゼネコンと呼ばれる大手のゼネコンは
1)大林組
2)鹿島
3)清水建設
4)大成建設
5)竹中工務店
の5社となります。
売上高を全部足すと、大体8兆円。全体の15.5%の占有率です。
ありゃ、思ったより少ない。
これはどういう事でしょうか?
こういう話があります。
ある災害が起こりまして、建設業に対する需要が上がりました。
本来であれば大手が元受けとなり指揮をとって下請に仕事を流すという流れなのですが、その時は行政主導のもと、災害が起きた地域の建設業者に直接仕事がふられたのだそうです。これは、地元の建設業者にお金を落とそうという心配りだったようです。
しかし、実際に起こったのは現場の混乱でした。
彼らだけでは大きな仕事を捌く能力・ノウハウがなかったのです。
業界の悪いところのように言われる、「元受け下請の構造」ですが、大きなところがそのノウハウを持ち、プロジェクトをマネジメントする、実際は下請が工事をするにしても、それ相応の代金が支払われている、というのが実態なのかと考えます。
それ故に、売上高が寡占しておらず、あくまでも中抜きレベルにとどまっているという事かなぁと考えました。
加えて、
今はどうかはわかりませんが、2014年あたり、滋賀県が近畿圏のベッドタウンとして紹介されていました。(今でもネットで検索するとそれ関連の記事を見られます)
このように、需要が見込める場所の地域密着型の建設業者は強みがありますね。
業界の弱みでは、技術伝承があげられます。
2020年の工事までは、ギリギリまで頑張って働いてくれていたベテランの人が、もう勘弁してくれい、と退職される。これは大きな痛手です。
現状、活況なためそういう方は現場で働いているのでしょうか?
私が少しだけ拝見した工務店様では、ベテランの方が現場主義で、退職まで働くという信念をお持ちでした。
マズいです。
私は、現場に出つつ、現実解・落としどころを探り、その方をアドバイザー・技術伝承者として待遇してはどうかという案を出しました。現場に出ても、自分でやるだけではなく、若手の技術指導に当たってほしいと、そこに対する報酬として給与を出すようにすればどうかという事です。
若手の成長が、そのベテランの方の成果となる、それは嫌だと相当ごねられました。
結果としてどうなったのかは秘密です。
現場主義の方の意識、自分が考えて努力して身に着けたことを懇切丁寧に説明してやらなくちゃいけないんだ、という抵抗感は相当なものがあります。
技術伝承がスムースに行くことがこの業界の未来を決めます。
(ちょっと裏付けになる記事が出てこなかったので記憶で書きます。
レインボーブリッジ、あれが1993年に竣工しました。
1987年から1993年の間、ベテランはそちらに送られたそうです。
つまり、その時期の他の建物はあまりよろしくない、と。記憶ですよ。)
本書には、単価が高い建物が書いてありました。
病院と事務所なのだそうです。
おそらくですが、病院は特別な設備や法令での定めがあるのでは?それをクリアするにはノウハウも必要そうです。
事務所は車と同じでオプションをつける営業力の世界でしょうか?
少し落ちて学校も儲かるようです。病院と同じ理屈だと考えます。
これからはあまり、受注できなさそうですね。
さて。
株式投資の観点からいうと、私はあまり建設業に詳しくありません。
利益率が上がっているのは存じておりましたが、それは一過性のものと考えています。
特にここが強いという特色も、あまり知りませんし、ツテもありません。
・竹中工務店の設計が強い事をしっている。
・飛鳥建設の制震トグルに注目している。
位です。(飛鳥建設は2014年の後半にハネて、後はいまいちなんです)
ソーシャルレンディングの観点からは、建設業者それ自体に貸しているという案件はあるのでしょうか?事業性資金では相手方がわからない(はず)なので。
それでも、建設業者に貸すのであれば担保がないと厳しいです。最近だとmaneoで7%、6か月、担保アリの案件がありました。
ブロックチェーンの応用に関しては、建設業界では思いつきません。
建設業の現場で痛いのは工期を食われることです。
これは天気やその他どうにもならないことに起因します。
スマコンを使って契約を、というのであれば、
期待した人員が実際に派遣されなければ補償金を支払う、というような契約をブロックチェーン上で行うことは可能かもしれません。
そうなると、納期遅れにかかる損失を算出しておき、それに対する原因を生じせしめた関係者に対して補償金を支払うというような応用例が考えられます。
しかし
これは保険の機能そのものであり、建設業界におけるブロックチェーンの応用ではありません。
資材の在庫やトレーサビリティ云々の話も、それは運送業の話で、建設業界におけるブロックチェーンの応用ではありません。
建設業界の解決すべき問題は、設計・工事における、ノウハウの伝承にあると思います。
さらには、週1の休みで働いているのが慣例なので、そこがワークシェアリングできるようになると、より良いのかもしれません。
あとは、
家を建てた人は実感されていると思いますが、業者と買い手は大きな情報格差があります。買い手にとっては30年に一度の買い物でも、建設業者にとってはいつもの話、日常。むしろ、しょぼい案件だな、くらいに思っている。
建設業界でもそれはあるはずで、その情報格差を少なくするサービスがあれば需要があるかもしれません。
今後の高齢化社会において、リフォーム・建て替えは主要な案件となるでしょう。
そこの仲立ちをする地域密着型のアドバイザーが必要かもしれません。
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