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考えたことをまとめます。

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Resale Options and Cryptocurrency Mispricingの話

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仮想通貨ビットコイン価格は本来の価値以上で取引されている|豪大学の博士が最新論文で説明

こちらを読んだけどわかります?私は分かりません。
というわけで、書きます。

 

結論は「期待が入っている分、ファンダメンタルを超える価格でトレードされているというだけでは?」というものになります。

 

多分

Resale Options and Cryptocurrency Mispricing by Wang Chun Wei :: SSRN

It's Hard to Short Crypto – And That's Propping Up Prices, Study Finds - CoinDesk
ここから引っ張ってきたのかな?と思うんです。
「resale option hypothesis」は冒頭の記事にならって「転売オプション仮説」と訳します。

 

Trading Cryptocurrencies: The Role of the Resale Option and How to Exploit it.

Wang Chun Weiさんは仮想通貨をスタバのギフトカードやバブル期の日本におけるゴルフ会員権になぞらえます。
そして転売オプション仮説を説明するために1ドル札を例示します。少し他と違う1ドル札です。

1〜500円、製造エラーや記念硬貨等プレミア硬貨価値一覧 | トレンドネットインフォメーション
そういうものはコレクターの間では価値が付きます。その価値を「resale option value」、転売オプション価値を含んでいると説明します。

 

この価値が高くなるのは、空売りが困難で色々な考えを持った人がいる市場です。
売り圧が強いと価格が抑えられます。
色々な考えを持つ人がいるという事は、その「少し他と違う1ドル札」に対する値付けの振れ幅が大きいという事です。

これが冒頭の記事でいうところの

仮想通貨の価格を釣り上げる要因とは、投資家(投機家)が買値よりも高く売ることができると期待することである。

という事になります。いろんな人がいるので、自分が買った値よりも高く売れるだろうと期待する、そういう事ですね。
空売りがこんな市場を想定しているので、売り圧は相対的に低くなります。価格はぐんぐん上昇するでしょう。
(高値になるにしたがって売りづらくなるし、いずれ限界はきそうですけど。)

 

冒頭の記事はBTC(というか、他の仮想通貨も入ってますよね?)は本来の価値より高値でトレードされているというものでした。

ビットコインXRPのような主流通貨には、転売オプション仮説が立証された。
この結果は、主流通貨の価格と出来高の相関性は、投機行為の傾向を示しているため、ファンダメンタル的な価値のみを反映していない可能性が十分に考えられる。

途中で引用した記事の「少し他と違う1ドル札」を思い出してください。
それのファンダメンタル的な価値は、中央銀行に対する債権であり、法治国家による法律の保証がなされている点です。

 

じゃぁ仮想通貨のファンダメンタルは、というと人によって意見は異なるでしょう。
何かの兌換紙幣的な、担保型のステーブルコイン的なものではないので、堅牢なDBとしてのネットワークにその価値を見出す人もいると思いますし、もっと応用的な、どういう使途があるのかにそれを見出す人もいると思うのですね。

 

先日

貧者をなくすツールが新たな貧者を作り出す話 | ALIS

において、現状のXRPの価値算定の文脈で「既存の手数料との差額と送金速度向上による利得が価値の源泉と言えそうです。」と書きました。

BTCに置き換えます。BTC送金が使われるのであればそれがBTCのファンダメンタルであると言えると思います。
なぜなら、BTCの送金はBTCでしかできない事であり、国際送金に対する施策になり得、おそらくその時間的金銭的コストは既存の国際送金よりも安いからです。その差額部分と浮いた差額でできる事(余分なお金と時間があれば価値ある仕事を行い価値を増やすことができます)その分だけBTCは価値を生み出していると言えます。
言えませんか?そうですか。そうでもなくないですか?

 

冒頭の記事に対する言及に戻ります。
本来の価値というのがファンダメンタルの事を言っているのであれば、トレードされているもの全般に言える事です。
誰しもがキッチリその投資対象の価値を算定できるわけではありません。言ってしまえば、超短期のトレードを行う人にとっては上がりそうな対象はただそれだけで価値があるんです。その場合、ファンダメンタルではなくテクニカルが重視されます。(他にも板の見せ方などいろいろあると思います)だから、ファンダメンタルと離れた値でトレードされていることは別に不思議ではありません。

 

「その「程度」が問題である」と。確かにその通りです。100円のお菓子のオマケが1億円で売買されていればさすがに投機だと思います。
「100円のお菓子のオマケ」にはきっと、コレクション要素があったり、それを持っていることで友達と共通の話題になったりするんでしょう。
そのオマケを使ったゲームがあったりすると、むしろ持っていない=その輪に入れないという損失を生み出すかもしれません。
その価値をどう見積もるのかが、ここでいう転売オプション価値を含む、その時点におけるオマケの価値になります。

 

では、BTCやXRPがその「100円のお菓子のオマケ」なのかというと、先ほど説明した通り、「違う」と思うのです。
ファンダメンタル的な価値はあるんじゃなかろうか、と。そして、記事ではどのような調査を行ったのかわかりませんが「ボラティリティが高いのはその一因」と主張しているようです。ボラティリティは将来が不確かならそれに合わせて大きくなります。
仮想通貨は国によって規制や税制何もかも違いますし、技術的な洗練もこれからでしょう。


ブロックチェーンは概ね受け入れられ、プライベートはアリやナシや等の議論や、介入者はアリやナシやという議論が進んでくると思います。
そこでパブリックチェーンが採択されるのであれば仮想通貨は受け入れざるを得ないものになります。(UIによっては自分が仮想通貨を使っていることが認識できないようにもなるでしょうし、モノによってはそうあるべきかもしれません)


というわけで、仮想通貨の価格が上がるのはファンダメンタル、私の理解では使途が広がり広く「利用」されることであるという結論になります。

 

尚、こちらに補足を書きました。

Resale Options and Cryptocurrency Mispricingの話の補足~転売オプション価値~


参考
Trading Cryptocurrencies: The Role of the Resale Option and How to Exploit it.
Resale Options and Cryptocurrency Mispricing

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