fungibolityと聞いて、多くの方が思い浮かべるのはERC721でしょう。
ERCは仕様・規格、こんな感じのルールで作りましょう、という決め事でした。
(cf ; ERC223がなぜ普及しないのか )
ではERC721はなんでしょう?
これも多くの方がご存知かと思います。
「一つ一つに個性があるものをブロックチェーン上に体現できる仕様だよ」
「お金は10円玉と100円玉で種類は違う、10円玉それぞれも実物としては違うが同じとみなしていい。
同じものだとするのがERC20であるなら、この10円玉とその10円玉を違うものとするのがERC721だ」
「NFT(Non-Fungible Token、代替不可能なトークン)を可能にする仕様。
DAPPSゲームでオリジナルのキャラクターやアイテムを表現できるようにする。」
私もそんな認識です。
なるほどね、と。
仮想通貨はデータだとは言え個性を持つものを表現することができなかった。1BTCは1BTCであった。
だからゲームのキャラクター、AとBを違うものとして扱うことができるのは良い事だ。
良い事は良い事なんです。選択肢が増えるので。
じゃぁ、今までがFungibleだったかというとそうでもないようです。
BTCは履歴を追うことができます。その為、
Moneropedia-Fungibility-
Therefore, if a coin has been used for an illegal purpose in the past, this history will be contained in the blockchain in perpetuity
したがって、過去にコインが違法目的で使用された場合、この履歴は永久にブロックチェーンに含まれます。
そうなると「私はAMLの観点から、過去に違法目的で使われたBTCは受け取らない」などという撰銭が行われる懸念が出てきます。
それが行われると、大きな視点では流通量の低下から一時的な価値上昇が起こるでしょう。しかし知らずにその「いわく付きコイン」をつかまされた人は損をします。
理想的な、貨幣としての性質を見るのであればこれはよろしくない。
さらに言えば、この損をした方は心情として「2度と仮想通貨使わない」と思うのではないでしょうか?
そうなると、「やっぱり頼りになるのはFIATだ」となるわけです。
その後もその仮想通貨に何の対処もされなければ、一時的に起こった価値上昇は下落します。仮想通貨自体が使われなくなるからです。
仮想通貨が実際市民権を獲得していけるかどうかは分かりません。
しかし、そういう理想があるのであればFungibleである必要が、言い換えれば取引履歴を秘匿する仕組みが必要になります。
というわけで、取引履歴を隠すいわゆる匿名技術は、プライバシーの観点からも通貨としてfungibolityを確保するためにも必要だ、という事になります。
「じゃぁ、匿名技術重要じゃん?」
です。ですが、いろいろと問題はあります。
・金融庁も自主規制団体も匿名通貨自体を禁止
(ホワイトリストに載ってるものが匿名機能を実装したらどうするんでしょうね?
cf; Bitcoin Cashの開発者、匿名化を行う新概念を発表 )
・新技術、枯れた技術でないので何が起こるかわからない
・トランザクションを匿名化することでコストがかかる
・仕様によっては匿名化が相対的に下がる
MimbleWimbleというプロトコルを調べていて、Grinが実装しているのです。
それで、この辺りが気になったので記事にしました。
MimbleWimbleの記事はまた別途書くかもしれません。
ほんと、ホワイトリストにある仮想通貨が匿名機能を実装したらどうするんでしょ?
参考
ERC721とは?
匿名通貨とFungibility(代替性)
Moneropedia-Fungibility-
撰銭令 - Wikipedia
戦国大名が盛んに撰銭令を発布した理由
BCHトランザクションを匿名化する新コンセプト「Tokenshuffle」
tor
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