最近はソーシャルレンディングについて追っておりまして。
今回の話は
こちらも関係してきます。
クラウドポートさんという、ソーシャルレンディングの案件比較サイトがFUNDSというソーシャルレンディングの仕組みを作りました。
Funds(ファンズ) - 貸付ファンドのオンラインマーケット
第二種の資格を取ったのですね。
「1円から投資が可能としている。」
— ton (@ton960) 2019年1月7日
最低投資金額の枠がなくなることで、純粋な複利運用が可能に。
クラウドポート、貸付型で新たな運用商品:日本経済新聞 https://t.co/hQHBzVvgWp
これが少し面白い仕組みで、既存のソーシャルレンディングの枠に収まらないものなのです。
改めて法人の資金調達を考えてみます。
企業の財政状態を報告する財務諸表は貸借対照表です。
B/Sなんて略されます。
BSとする人もいますが、私は「/」がないと気持ち悪い派です。
仮想通貨を暗号通貨と言い換える感じに似ています。
この表は、左側に資産、右側に負債と純資産(資本)があらわされており、資産=負債+純資産という関係にあります。
企業が「資金調達をしますよ」、という場合、投資をする側は負債か純資産か、いずれかの性質で投資をするのですね。
直接金融というものがあります。純資産での資金調達です。
株式を発行する、増資をイメージしてください。転換社債もいいですが無理に複雑に説明するつもりはありません。
株式を発行して、それを購入する人がいて、会社は資金調達ができ、投資家は株式という企業の持ち分(所有権というっくり理解で結構です)を手にします。
投資家は株式を通じて企業の所有者になり、配当というインカムゲインを手に入れられます。
株式購入にかかったお金は、会社から戻されることは通常ありませんが、株式市場を通じて、買いたい人に売ることができます。
上手く売れば、値上がり益というキャピタルゲインを得られます。
間接金融というものがあります。負債での資金調達です。
銀行からの借入金や社債を発行することをイメージしてください。
社債は会社の借金です。
投資家はそれらを通じて、利息というインカムゲインを手に入れられます。
直接金融との違いは、社債なり銀行からの借金は、会社がお金を返さなくてはいけないという点にあります。
企業はそれぞれの事情に合わせて、直接金融と間接金融を組み合わせて資金を調達し、事業に投資をして、投資家へ還元を行います。
もっと言えば、事業が良いものであればお客様は喜びますし、従業員を雇っていれば雇用を創出しています。利益を上げられれば法人税などによって所得の再分配に貢献しています。
さて、ソーシャルレンディングなのですが、これは「間接金融であり、個人投資家一人一人がノンバンクになったようなもの」だと私は理解しています。
銀行は受信行為(お金を預かる事)ができるから銀行なのですね。
だから、ノンバンクです。お金を貸すだけ。
では、今回作られることになったFUNDSさんはどういうものなのか?
FUNDSさん自体は案件を組成しないのだそうです。
他の会社が資金調達する「場」を貸して手数料を取ります。プラットフォームビジネスをやるのだそうです。
詳しい話は、ブロガーの方にお任せします。
ここで注目していただきたいのは、FUNDSさんは、企業が間接金融を手軽に行うことができる場を提供している、という点です。
社債の発行、銀行の借入、それぞれそれなりに手間でして。
だからこそ、手軽な、貸付型クラウドファンディングであるソーシャルレンディングに需要があったといえます。
隙間産業だったんですね。
隙間産業であるがゆえに、利回りが高いが危険も多い。
それがちょっと格上げされて、安全性が高まり、利回りが少し落ち気味な投資、それがFUNDSさんだと私は認識しています。
話はここで終わりません。
仮想通貨の世界で、ICOという資金調達手段があったのをご存知でしょうか?
株式の世界でIPOがありますね?上場です。アレの仮想通貨版です。
「お金をください。代わりに仮想通貨をあげます。このプロジェクトがうまくいくと仮想通貨の価値が上がります。いただいた資金はそのプロジェクト推進に使います」
こんな感じです。
詐欺が多いので今は禁止のところが多いのですが、私は良いところもあると思っていまして。
・全世界から当該プロジェクトに興味がある投資家から資金調達が可能である
という点はもちろん
・仮想通貨を配布することを通じてコミュニティ(経済圏)を創出することが可能
であり、さらには
・法人でなくとも、資金調達が可能である
という点に未来を感じていました。
最近ではICOは目論見書(ホワイトペーパーは厳密には目論見書ではないようですが、投資畑の人には目論見書の方が通じますよね)を書くだけで資金調達ができてしまうのは危ないという事でSTOというものが興隆を見せています。
セキュリティトークンオファリングというもので、既存の資産を裏付けに、有価証券となる仮想通貨を発行する仕組みです。
アセットバックトセキュリティみたいなものです。
資産の裏付けがあるので、当該仮想通貨に価値があることは明確であり、バリュエーションも相対的にやりやすいはずです。(のれんを裏付けに発行された場合などはやりづらそうです)
という事はですね、
ソーシャルレンディングで私たちは企業に対して借金をさせたわけです。
言い換えれば、私たちは企業に対する債権を持っているといえます。
債権は資産です。
この債権が、トークン化(仮想通貨に価値がうつり細分化され流動性が上がる事、トークナイゼーションなんて言います)されると、現状の「ソーシャルレンディングは投資すれば見守ることしかできない」という問題が解消されるのです。
急遽お金が必要になることは誰でもあり得ることでして。
そういう場合、利息分を割り引いた価格で現金に換金できればとても良いと思いませんか?
さらには、案件の組成を待つのではなく、売りたい人がいるのであれば途中の債権を購入できると、とてもいいなと思うのですね。
ソーシャルレンディングの世界では、借入期間が短いことが良しとされる風潮があるように見受けられます。
という事は、期限の途中で売りに出された、債権についても買い手がつくのではないかと考えています。
(借入期間について私は逆の価値観を持っています。借り手がしっかり返してくれるのであれば、高い利息で長く借りてくれる方が嬉しいのです)
市場が成立すると思うのですね。
という事は、今後、ソーシャルレンディングの債券市場が発達するかもしれません。
何もおかしなことを言っているつもりはありません。
REITだって不動産の証券化です。
おかしなことも、斬新なことも言っているとは思っていません。
「何も仮想通貨にしなくても、STOしなくてもいいんじゃないの?」
そうですね、最初はそうかもしれません。
仮想通貨はブロックチェーンというものを土台に、記録を改ざんしずらい性質を持っています。そうなると、未来の世界では、FUNDSさんのようなプラットフォーム自体必要がなくなり、会社が直接「STOで資金到達するよ」となるのですね。
ここの良いところは、プラットフォーム利用による手数料がなくなるという点です。
当事者同士が直につながりあうことができるのですね。
それによって手数料やタイムラグがなくなり、中間者による情報の改ざん(例えば借り手の情報、条件、貸し手の金額や利息)はありえないことになります。
デメリットももちろんあり、法人に対する個人は弱い存在なので、個別の交渉がしずらく、与信能力も個人は高くないという点です。
与信に関しては思うところがあるので、別途記事にしたいと思います。
もう、こうなってくると、直接金融・間接金融の区別がつかなくなるかもしれません。
そんな世界で重要なのが
まずは、こちらで書いたような、会社が投資家に気付いてもらう事。投資家にファンになってもらう事。B2Bビジネスを行う企業であったとしても、です。
資金調達の世界でもマーケティングが必要な未来が来るのでしょう。
さらには、ファイナンスという学問も大きく変容を見せると思います。
さて。
ツイッターのフォロワーを増やす!!というのはなかなか上手に行きませんが、こんな調子でぼちぼちとブログを更新していきます。
またよろしければ、私のブログなりツイッターなりをご覧いただければと思います。
ではでは。
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