先日も紹介しました。
FUNDSさんですが、案件の組成ではなく、案件の審査 ・事業者の監査という点に重点を置く事業者になると、かなり面白いな、と思います。
商品の多様化に期待。将来転換社債、STOプラットフォームなど面白いかも。いずれにせよコアコンピタンスは「ここの審査を通った商品は、そこそこ大丈夫だという信頼」
— ton (@ton960) 2019年1月12日
貸付けファンドのオンラインマーケット Fundsをリリースしました。|藤田 雄一郎 https://t.co/UzX2gIunF0
転換社債は、社債として受け取ったもののを一部株式に変更することができるというものです。
いいものか悪いものかという枠組みで話す内容ではなく、そういう形式のものなので、どういう使い方をするのかが大事です。
まず最初に必要なのが、審査・監査の力量を高め、できるだけ客観的な格付けをできるようにすることです。
現状のソーシャルレンディングの投資は
・新しい投資商品として、勉強のために投資
・専門外の分野について、もしくは1単位当たりの投資が高額なものに対して、一般サラリーマンが時間を取られない投資
として利用されているのかな?と思います。
今後も後者は残っていくと思うのですね。
オーナーズブックさんは、それぞれの案件に対して
・ロケーション
・稼働率単位
・スポンサークレジット
という観点から、三段階で自主的な格付けをしています。
これに問題があるとすれば、
・自分で自分に点数をつけているので主観的であるということ
・オーナーズブックさんは案件数が少ないので、あるものに投資するしかなく、上記格付けをもとに案件に投資をするかどうかを選んでいるようには見受けられないこと
でしょうか。
格付けが格付けとして機能するには、
・案件がそれなりに数がある
・加えて、種々の案件があること(リスクが高いものも低いものもあること)
ではないでしょうか。
これがプラットフォームとして、案件を集めることに集中しているのであれば実現可能なのかな?と思います。
さらには、事業者についての格付けです。
A事業者は不動産に強みがある、B事業者は米国案件に強みがあるなど、
・素人同士での情報交換では知見の面で限界があります(なぜなら、私の場合ですが、自分が不得意な部分に対してSLを利用しているから)
・事業者が自分で言っている説明にどこまで説得力があるのかは大きな疑問です(詐欺師が自分で「私は詐欺師です」と言わないでしょう?)
・ネットに流れているアフィリエイトブロガーの言うことがどこまで信頼できるでしょうか?
というわけで、客観性の高い審査・監査、それも案件・事業者双方における格付けが必要とされるように思われるのですね。
(なお、観点は私では分かりかねますが(例えば不動産案件と事業性資金案件で同じ観点でいいとは思わない)ある程度汎用的な「対リスク利息の妥当性」は必須かな、と思います。)
その段階は、3段階、中央化傾向を排することを鑑みれば4段階程度だとわかりやすい。
事業者の格付けにおいて、ポイントとなるのは「新規事業者であるので判断できない」等という観点を入れておくことだと思います。
つまり、わからないものは分からない、と。
それがなく「なんとなくよさそう、格付けはAだ」という程度では意味がありません。
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次に
私だったら、債権の流動化を図りたいなぁ、という思いを持ちます。
SLの特質であり、強みにも弱みにもなる点で「資金が拘束されること」があります。
強みとしてみるのは、ほかの投資を考えなくてもよい(損切りできないのだから放っておいてよい)という見方です。
弱みとしてみるのは、「この案件が危なそうだ」と途中で思っても資金を引き揚げることはできないという見方です。
同じことに端を発しています。
損切りができないという点は、なかなか致命的です。
個人として、投資とは別に急遽、現金が必要になることは、ままあるからです。
案件が悪そうだと判断したから損切、という理屈は通らないように思われます。
素人が「まずい」と判断すれば、それはもう市場に織り込まれているのが常であり、その案件の債権を買う人間はいないと想像されます。市場が成立しないのですね。
なので、個人の事情で現金化する場合の市場であれば成立するかな?と。
というわけで、各種案件の債権を証券化、もしくはトークナイゼーションして流動性を高めたいなぁと思うのですね。
トークンとして仮想通貨のように扱うと、規制面でのあやふやさが残りますし、何より仮想通貨自体がP2Pのやり取りを設計思想の根本に持つものです。
BITFLYERさんなどのCEX(中央集権型取引所)が有名ですが、個々人が直接売り買いに参加できるDEX(分散型取引所)の開発も進んでいます。
トークン化することで流動性を図ることは、直近ではプラットフォーム事業者にうまみはないでしょう。
であれば、証券化です。
これについてはREITに代表される、流動性確保の手段で、すでに実績があります。
あとは債券市場を作り出すだけでよい。そしてトレードには手数料を徴収できる可能性があります。
可能性と書いたのは、債券市場は価格の変動性が低く、出来高が低いので収益の柱になるのかはわかりかねるのです。
もしかすると、プラットフォームの特性・強みとしてのサービスとした方がよいのかもしれません。
投資家は、急遽必要になった現金化を行うことができるようになる。
プラットフォーム事業者は収益源を新たに手に入れられる可能性があり、さらには流動性を確保できればSLにおける大きな進化でありウリになる。
悪くないんじゃないでしょうか?
なお、誰に利息を配分すればよいのか・元本を返済すればよいのかという点は、厳密に管理する必要があるので、そのコストは上がります。(何らかの形で利用者に跳ね返ってくるということです)
所有権の管理や、利息・源泉徴収の話は事務処理なのでシステム的な解決は可能です。
が、どこまでコストをかけなければならないのかは、想像できません。
(現状、SLの利益は雑所得です。トークン化してDEXでトレードされると徴税回避できてしまいます、なのでトークナイゼーションは税制度の改革の後でしょう。)
というわけで、プラットフォーム事業が今後発展するにおいては
・事業者・案件双方に対する、審査・監査能力を高め信頼性を確保する
・それにより、資金の借り手利用選定を行い、貸し手に投資情報を提供する(事業者・案件の格付け)
・格付けの意味があるのは、多種多様な案件の存在が大前提なので、金融商品の採用と危ないものを排除するジレンマが多少あるかもしれない(リスクが低く利率が低いだけの商品では魅力が少ない)(現状のFUNDSさんの安全性を重視するスタンスに異を唱えるものではありません。いろいろなプラットフォーム事業者がいて良いと思っていますので)
・債権の流動化を図る
こんなところかなぁと思います。
実際にはもっと地道で、派手な動きはないと思われます。
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