ソーシャルレンディングについての話です。
過去の話です。
「あーしておけばよかった」「こーしておけばよかった」と、後になって言うのはお行儀が悪いですが、まとめとして書いておきます。
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今後、匿名化が解除され、借り手が丸見えになりそうです。
そこから起こるのは、需要の減少だと考えています。
なぜなら、
1)公にしてまで、(まだ世間の目としては怪しげな)SLを通じてお金を借りることに抵抗を感じるところが多いと思われる
2)情報を公にされるとしても、私を含めた貸し手側が正しく判断できるとは限らない
それらが正しければ、SL自体の衰退を招く結果となります。
こちらでも、また、コメントでも書いてありますのでご参照ください。
さらには
こちらで書きましたように、不動産の担保価値の減少が起こるように思えます。
であれば、SL業界は縮小されるのではないかなぁ?と思います。
借り手が少なくなって、貸し手が少なくなって、中間業者のうまみが減れば、それは、衰退しますよね?
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ここで、少し角度を変えて考えてみたいと思います。
SLはどうあるべきであったか、という話です。
冒頭に出してきた、SL悲観論における根拠は二つ
1)不動産の価格低下に伴う、担保価値の減少
2)匿名化の廃止に伴う需要減少
でした。
わたしは、1)については以前から危惧しており、むしろ、SLが銀行に偏った間接金融の別選択肢となり、「晴れの日に傘を差し出し、雨の日に傘を返せという」銀行の隙間を縫って、バブルの崩壊を緩やかにできるのではないかなぁ?と考えていました。
しかし、ドイツ銀行の崩壊で語られることが多いように、さらにみずほ銀行の巨額損失報告で明らかになったように、銀行は融資という本業では稼げる状態ではありません。
むしろ、投資不動産にかこつけて、融資を過剰に行っている。話の筋によればそれはどこの銀行も多かれ少なかれやっているようなのです。
融資に色を付けるくらいはどこもしていると思います。程度の問題で、これから発覚するところはあるのでは?
— ton (@ton960) 2019年3月18日
スルガ銀行社長に株主代表訴訟 565億円賠償求め提訴(共同通信) - Yahoo!ニュース https://t.co/mwdiesmc5O @YahooNewsTopics
となると、1)は銀行の対応次第で、世の中のバブル崩壊が緩やかになりうるかもしれない。
その状態でSLはどうあるべきであったのか。
私の考えでは、与信機能の充実です。
この辺は、マネオさんが大変良い制度を作っていたと思います。
目利きをする会社と、商品を売り出す(二種を持っている)会社を別に分けてしまっているのですね。
土台は土台としてプラットフォームとして働き、上に乗っかる事業者は、それぞれの強みを活かして与信機能、つまりはここに貸し出しても良いものか?という審査能力を上げていく。
利用者としては、それぞれのバラエティに富んだ商品の中から選ぶことができ、なおかつ、プラットフォームで健全な審査が行われていると期待していた。
だから、良いものだと思っていました。
過去形になっています。
現状を見れば、それが大変「杜撰」なものだとわかったからですね。
「信頼があるところはクリック合戦になっています」
そう指摘くださる方もいます。
私は、その信頼は何に対する信頼なのかと疑問に思うのです。
私を含め、貸し手側は本当に評価(判断)をできているのか?と、
ある、利率の高い事業者でもクリック合戦が起こっていました。
その事業者は二種を取り消しになりました。
ここからわかるのは、我々は内容を評価していたのではなく、誰かが言った「信頼を置ける根拠」を妄信し、さらにはクリック合戦が行われていること自体に信頼を置いていたのでは?ということです。
大丈夫と皆が判断しているからクリック合戦が起こるのだろう、であれば自分も乗り遅れてはいけない。そのような心理です。
それを非難するつもりはありません。人間ですから。
ただ、そういう面があったのでは?今後もあるのでは?という教訓は頭の片隅にあってもいいと思うのですね。
2)の匿名化はそのような、だらしのない現状のSL中間事業者に喝を入れ、その利用者(貸し手)の財産保護に国が動いたことを意味します。
これは規制が発生することであり、中間業者にとっての、さらには国にとってのコスト増加を意味します。
それをよくよく考えていくと、最終的には、利用者の負担に跳ね返り、税金の増加や公的サービスの減少に跳ね返るのですね。
規制が規制として成立してしまうと、皆が損をするはずなのです。
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クリプトエコノミクスという概念があります。
このあたりから、いくつか記事を書いています。
かいつまんで言うと、「個々のプレイヤーが、期待されるように動くのが一番効率が良い、という仕組みを作る」事です。
仮想通貨の文脈で使われます。
合成の誤謬が発生しない鳥観図を作成すること。
そう言い換えられると私は考えます。
人事経済学辺りをご存知の方であれば、そのように理解されても差し支えありません。
SLにもそのような仕組みが必要だったのではないかと思うのですね。
SLにかけていたのは何か。
中間事業者のモラルなのかな?と私は思います。
逆に言えば、モラルをなくしても、回ってしまうビジネスモデルだったのですね。
なので、中間事業者が真面目に動かざるを得ない仕組みがあれば、ここの案件の目利きはできない我々個人であったとしても、「この仕組みであれば、中間事業者を信頼してもよさそうだ」となるのではないかなぁ?と。
罰則ではなく、インセンティブの設計です。
なぜなら、モラルという測定しずらいものを型にはめようとすると、コストが多いにかかるはずだからです。
具体的には、投資家と運命を共にさせることです。
マネオさんなどを見ていると、需要はほどほどにあったようです。
なので、この記事でターゲットとしている「どうあるべきだったか」という点を考えるには、「どう、中間業者を投資家と同じ船に乗せるべきだったか」と言い換えてもよさそうです。
それが正しいのであれば、借り手の都合は考えなくて良くなるので、楽ちんです。
自分たちがこうして欲しかった、ということを考えればいい。
私は、上記の通り、中間業者は我々貸し手と同じ立場であることが確認できればよかった。
具体的に言いますと、「我々貸し手の利益から事前に定めた割合で、事業者利益を確定する」という方法であれば、かなり信頼性が増したのだと思います。
これなら、事故を起こさないような案件を組むでしょうし、事故が起こっても必死になるでしょう。
尚、ロボアド(国内ではウェルスナビさんが有名です。)や投資信託ではこのような仕組みでして、「顧客の資産(純資産)のN%が我々の取り分です」となっています。
だから、我々は安心できるのですね。
SLの中間業者が上記モデルを採用したとして、全体の利益は案件から計算できますから、それと各事業者の利益を照合することで個人でも確認が可能です。
それぞれのデータが正しいものという前提はありますが、監査法人をかませばある程度の信頼性は確保できると考えます。
これに近いのが、FANTAS fundingsさんです。
こちらは「出資の20%をFANTAS fundingsさんが引き受ける」というスタイルを取っています。
事故が起こったとき、出資の元本既存分20%までは保証されるのですね。
その保証という点がクローズアップされがちですが、「貸し手と事業者が同じ船に乗っている」という点を私はいいな、と思うのです。
(FANTAS fundingsさんに投資すると良いよ、といっているわけではありません。不動産がかぶっている人はSL界隈で多そうなので、ほどほどが良いのではないかと思います)
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最近、サムライさんからアンケートが来ました。
匿名化が解除になった際に、どのような情報を求めるのかという話でした。
私は冒頭の過去記事にも書きましたが、借り手の情報だけでなく、中間業者(この場合、サムライさん)が、事故が起こった際に何をどうするのか?担保の評価方法はどうやっているのか?という点を知りたいと書きました。アンケートなので返信は来ないでしょうが、今後どうするかでサムライさんの誠実さの程度がわかります。
そして、中間業者が貸し手に歩み寄ることは、実は、歩み寄りではなく、むしろ中間業者に対する忠誠心を集める効果があると私は思います。
この制度の採用は、二番煎じが効きません。
仮に効いたとしても、その効果は大きく減じられます。(最初100ポイント、次は30ポイント、その次は2ポイント、、、という感じをイメージしています)
どこかがやる前に、サクッとやった方がいいのではないかと思います。
昨年でしたか。ある仮想通貨交換業者がハクられまして、その後、安全性をうたった仮想通貨業者に口座が集まりました。
皆、すぐに安全性を謳った業者の名前は憶えていても、安全性が当たり前になった今では、他の業者を思い出せません。
それとは別に。
何度も書きますが、上記、事故後の対応フローの公開・担保評価方法の公開は今でもできるように思います。
遅いかもしれませんが。
健全な発展とは何か?、誰にとっての健全な発展なのか?など、いろいろ論点はありますが、新しい可能性のある金融商品です。
それなりにうまくいくといいな、と思います。
ではでは。
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