ファンズさんが、どこかの大量に事故を起こしたSLプラットフォーム業者に代わり台頭してきているようです。
ファンズさんは
・上場企業が実名で資金調達するために使ってもらう
・貸し手は一円から投資可能
・ノンリコースローンはしない
ということで人気を集めているようです。
ノンリコースローンについてはこちらが詳しいです。
これは換言すると
・監査法人の監査が入っているから、まぁ、安全ですよ
・実名だから安全ですよ
・投資最低額が、1円なので遊び金がなく、効率的な複利を享受できますよ
・その事業として限定的な責任しか負わないのではなく、会社としてその事業への負債に対して責任を負うから安全ですよ
という意味合いだと私は理解しています。
これらを総合して、私は「ファンズさんは簡易社債の発行プラットフォームとして機能するのだよなぁ」という理解です。
それを踏まえて、一般化し、SLと社債の違いを考えていきます。
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冒頭のファンズさんの特徴を逆に言えば、
・いまだに匿名でも募集は可能
・ノンリコースも募集は可能
ということになります。
貸し手側からすると、危ないので実名やその他財務情報を明らかにし、ノンリコースローンは許容しないという立場の方が多いと思います。
それはそれでリスク選考度の問題ですので、別に私がとやかく言うことではありません。
ただ、「それが正解」とまでは言えないと思うのですね。
私は別に「社名を公にさらしてノンバンクから借金するのは世間体が悪い」という会社が、どうしても必要なので利率高目で案件を組成する事があってもいいと思います。
そして、ここが社債とSLの違いだと思っているのですが、貸し手が会社ではなく、会社の一事業(会社の一部分)に対して貸し付けることができてもいいと思うのです。
説明します。
SLは貸付型クラウドファンディングと言われます。
クラウドファンディングなわけです。
個人でもやってますね、ある人が「○○をするから資金を募集します」なんて。
それは、人を買うわけではなく、その人がする事業を支援して、場合によってはリターンを享受するんですよね?
つまりは、人ではなく人の生活の一部を応援し、場合によってはそこからリターンをもらう仕組みである、と。
事業においても同様の事が言えると思うのですね。
会社が一つの事業だけを行うというのは、なかなかに少ないと思われます。
大きな会社だと、会社を分けてまで複数の事業に投資をしているわけです。
それだとイメージしやすいですね。
tonちゃん不動産ホールディングスの、ton北海道不動産会社の社債を購入することはton北海道不動産会社に投資をすることであるし、
tonちゃん不動産ホールディングスの、ton九州不動産会社の社債を購入することはton九州不動産会社会社に投資をすることです。
しかし、ton不動産株式会社のなかで北海道部門と九州部門に分かれていた場合、微妙なわけです。
例えば、財務諸表でセグメント別に見てみると、どうも九州は調子がよさそうだが北海道は。。。
そんな場合、九州に強みがあるので、九州への投資をしたいと思うのですね。
株式投資ですと、部門ではなく会社に投資をします。
社債であっても同様です。
しかし、SLであれば「ton不動産株式会社が九州の不動産に投資をするための案件」という商品を組成できます。
貸し手は、借り手の強い(であろう)分野に対して投資を行うことができます。
「匿名化されてればわからないじゃないか?」
わからなければ投資をしなければいいですし、会社名が匿名であっても、投資先(この場合どこの不動産か?という点、例えばこの地域が値上がりするであろうと見込まれるのであれば、会社がどこであれその地域への投資というだけで投資対象になり得る)が魅力的であれば、投資をするという判断をする人もいると思います。
以上のように、
そして、ここが社債とSLの違いだと思っているのですが、貸し手が会社ではなく、会社の一事業(会社の一部分)に対して貸し付けることができてもいいと思うのです。
こちらの意味合いはご理解いただけたのではないかと思います。
そうなると、会社全体ではなく、部分に投資をするのでノンリコースローンを選択したとしても、それなりに合理性はあります。
もちろん、2019年4月現在の、日本におけるSLを鑑みるに、ノンリコースローンで匿名の案件が受け入れられる、と考えるのは現実離れしています。
CAMPFIRE Owners より
— ton (@ton960) 2019年4月3日
「匿名化ルール」解除の当社方針
本サービスにおいては、上記「匿名化解除」公表を踏まえ、
当社での投資案件については、「借り手を特定できる」情報開示を目指して運営いたします。
借り手の情報を可能な限り公開し、投資家のみなさまにリスク評価を
正しく行っていただける透明性の高い投資プラットフォームとなることを目指すとともに、これまで購入型クラウドファンディングを運営してきた当社だからこそできる、投資対象の顔が見えるプラットフォームの実現を目指してまいります。
— ton (@ton960) 2019年4月3日
だそうです。
しかし、一つの会社への投資だけではなくその一部分への投資ができる、という仕組みはあってもいいし、残るべきだと思うのですね。
(その際は、中間業者が信頼できることが大前提です。その選択を匿名で不十分な情報で投資家に迫るというのであれば、それはさすがに不誠実でしょう
おっと、そういう中間業者もいましたね。)
同様に
評判が悪いICO(仮想通貨を使った資金調達です)ですが、そちらも、一事業における資金調達として、さらにはマーケットの前評判を感知するマーケティングの一環として「アリ」だと考えています。
この場合、例えば芸能事務所のトークンではなく、その芸能事務所に所属するタレントAの独自トークン、アイドルグループBの独自トークンが発行される、というイメージです。
さらに
社債市場
— ton (@ton960) 2019年4月3日
三菱地所が初の50年債 国内最長、金利1%台前半:日本経済新聞 https://t.co/qgjOgOtIlV
このような商品も出てきました。
社債がやり取りされる市場が創出されるとともに、SLでの債権がやり取りされる市場も出来上がるかもしれません。
そうなると、債券=満期保有目的債券という、画一的な会計処理は変わるかもしれません。
もっと言わせていただくのであれば、広く資金を募集するとそれなりの説明コストがかかります。一部の最先端の技術であれば、コンフィデンシャルな案件としての資金調達がなされます。その形態はずっと残っていくと思われます。
人の言説にケチをつけるわけではありませんが。
— ton (@ton960) 2019年3月29日
株式会社の前にも挑戦はあるわけです。
例えばアメリカ大陸の発見は1492年で1602年の東インド会社よりも早い。
航海はコロンブスの挑戦が初めてではないでしょう。
そういう挑戦がどういう制度でなされていたかというと、
一種のパトロン制度であり、継続企業の前提でなく清算企業の前提で動くプロジェクトベースの投資であったようです。
— ton (@ton960) 2019年3月29日
(もっと昔には、地中海貿易に加わりたいが身分を明かせない人たち(聖職者や貴族)の為に匿名組合という制度が作られました)
それには壮大な計画を理解できる資本家を説得できれば
計画を始められるという優位点があります。
— ton (@ton960) 2019年3月29日
株式会社はそれが有限責任になり、かつ、広く募集できるようになった点が違うのではないかな?と。
つまり、株式会社的な仕組みがなくとも、突き抜けたアイデアに理解を示し支援してくれる人がいれば挑戦はできるわけで
挑戦できる環境は株式会社という仕組みにより成立するというご意見には違和感を覚えるのですね。
— ton (@ton960) 2019年3月29日
株式会社的な仕組みですと、多くの方の理解を得られなければ計画を進められません。
パトロン的な仕組みですと、専門的な内容や突き抜けて常人には理解できない内容であっても大口に理解してもらえれば進められます。
— ton (@ton960) 2019年3月29日
みんなに分かる説明のコストが分岐点だと思うのです。
なんにせよ、投資家はしっかりしなくてはいけませんが、だからといって中間業者が不誠実な案件を創出したり、事故を起こしてその回収を適当にやっていいという話にはなりません。(連帯保証人をつけているのに回収が進んでいない、という謎案件もあるようです)
匿名でも、ノンリコースでも、貸し手がそれを認識したうえで投資をするというのであれば別に、他人にとやかく言われるものではないと思うのです。
色々な仕組みがあることは、複雑にはなりますがいろいろな可能性を残すことになりますし、いろいろな挑戦を支援することにつながると思います。
そしてその大前提として、現状で中間業者を排することはできなさそうなので、中間業者の信頼は不可欠のものだと思われます。
ではでは。
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