タイトルは暗喩です。
書かなくてもわかる?わからない人もいるんです。
世の中って広いですね。
アカデミズムが不足しているというか(不足してるんですか?)、私の表現では実務に即しているというか。
性質的にそういうものなのでしょう。
だから、といっていいかどうかはわかりませんが、学術的にまとめ上げると抽象的過ぎるロジックの集積になるか、歴史のまとめになるようです。
一方で実務の面に目を向けると、目まぐるしい流行語が飛び交います。流行に乗っかるのが合理的であり、時には使い古された実績のある理屈が、新しい言い回しで「リサイクル」されていたりします。
名前を挿げ替えられた実績ある理論を、現状の現実に即して説明会や書籍を出すのが商売としては正しいのでしょう。しかしそれは道義的なものではないんじゃないかなぁ?と思います。
(セミナーや本を書くのにそれはそれで技術が必要です。私ではやろうと思っても実行できません。なので、あのブドウは酸っぱい、と、手にできないブドウの価値自体を貶めるようなことはしません)
では、私がいわゆる経営学をどのように扱っているかというと、実務の補強です。
そこでよくよく実感するのが、勉強と実務の違いです。
端的な例でいいますと、例えば管理会計。
管理会計をかじったことがある人であれば、その学問自体をものすごく簡単なものに感じるでしょう。「経営者など、会社内部の意思決定者の役に立つ数字を計算・計算に行きつくまでの業務フローをデザインすればいい」程度の認識でかなりの部分を言い当てているようにさえ思えます。(管理会計学者の方、すいません)
ところがひとたび実務に当たると、その数字を出すのにえらく手間がかかることに気づきます。
どの数字をどこに負担させるのか、それは個々別々に調整し意思決定すべきものであって、教科書通りにやればいいというものでは無いからです。
具体的に話します。
A製品とB製品を作っているとき。双方の原材料はそれぞれの製品のコストとなります。一方で双方の製品が利用している本社機能、例えば経理や労務・総務にかかるコストはどのように負担すればよいでしょうか?
経理部門の負担であれば、仕入れの回数?業務に付随する出張旅費の回数?
労務であれば、必要となる従業員数?それとも突然の休業や臨時の雇い入れが発生することが多いのであればその分の業務コストを加えるべき?加えるべきなら何を指標に?
総務であれば、備品の数?種類?金額?製品にかかる機械の減価償却額は別として、どこまでを「総務機能を利用して製品を作っている」こととする?
そもそも、製品に帰属するコストに本社機能のコストを付け加えるべきか否か?
もう少し、専門用語になれた方向けに、同じ話題で話を変えます。
A製品とB製品の標準原価計算を行う場合、今期のコストが順当なものであったのかという原価の計算や、工場長が工員をまとめ上げ効率的な製品の製造を行えたのか、という業績指標に使われることがあります。
コストを何らかの規定でそれぞれの製品に結び付けることを賦課(ふか)といいます。
あらかじめ、ルールが作られます。
例えば総務に備品をリクエストする回数で総務のコストをそれぞれの製品に賦課する
という具合です。(時に、このルール作りで人の動きをコントロールします)
それぞれの製品担当者は、自分が担当する製品にコストを賦課させたくないので、今回の場合ですと「総務に備品をリクエストするのはまとめて行う(それによりコスト負担割合を減らす)」という通達が製品責任者から皆にあるはずなのです。
では、製品のコストを算出するために、経理や総務というコストセンターを案分するのは良いにしても、製品責任者や行員の能率を計測するのにどこまで役に立つのでしょう?
これが上記の話です。
原価計算・管理会計を学部で勉強する程度ですと、数字はすでにあり、どういう風に案分すればよいのかすら問題文に書いてあることがあります。
実際には、交渉し、ウソ・ごまかしを暴き、時には声を荒げる必要すらあります。
ルール通りだと、納得できる数値が出ないので、納得できる数値が出るような操作が行われる事すらあります。
数字の四則演算ではなく、よく言えば「血が通っている」「人間的な」、悪く言えば「人間の悪い部分・ずるい部分を目の当たりにする」業務だったりするんです。
具体例を変えます。
製品ライフサイクルというものがあります。
製品は人の一生と同じく、赤ちゃんの時期・成長する時期・成熟した時期・衰退する時期がある、というものです。
youtubuなどの「N分でわかる○○」のような解説ものですと、概要を伝え、それぞれのステージにおける売上高と利益の関係を伝え、どのように動くべきなのかを伝えているようです。
強い言い方になってしまいますが、私には経営学の本をパクっただけのように思えます。
私が実感している製品ライフサイクルは、むしろ、責任者が「自社としてこの製品をどうしたいのか」という意思が最初に来るものです。
成熟した時期にある製品を、まだまだ寿命を延ばしたい、だからこういう手を打つ。
そのためのものだと思うのですね。
間違っても、なんとなく売って、結果が出て、表にプロットして、衰退期だから撤退させるわー
このようなパッシブな使い方をするものだとは思えないのです。
最初に「この製品をどうしたいのか」という売り手側の意思が来ると思うのです。
今回のタイトルは
スナック菓子だけを食べていると論理の逆転に気づけない話
としました。
youtubuなどの「N分でわかる○○」のような解説ものをスナック菓子としています。
スナック菓子にはスナック菓子のいいところがあります。
しかし、あまり栄養になりません。
スナック菓子に満足する人は製品ライフサイクルを、単なる自社プロダクトの分類ツールととらえるでしょう。それはそれで一つの意見です。
しかし、それだけではもったいないなぁと思うのです。
私が新卒時、ある企業の面談を受けました。
ある経営学用語の説明を求められ、実務をかじっていた私は、そのことを踏まえた回答をしました。しかし、面接官には不評でした。(教科書と違うことを言う私は、バカにされました)
そこで求められていたのは、教科書的な内容だったのですね。
その企業は、教科書やビジネス書を妄信し、知ったかぶりする人間が新卒の面接官として(普通採用に携わる人間はその会社で優秀とされる)出てくるような会社、ということで、私は辞退をしました。
10年はたっていない位、後、その企業がその経営学用語にまつわる経営手法を、私が述べたとおりの改善をしたうえで取り入れたようです。
物事に対する態度如何で、経営改善が10年弱も遅れてしまうという例といえるでしょう。
とはいえ。人生は有限なので、スナック菓子の中で興味をひくものがあれば、深堀する位がいいんじゃないかなぁ?と思います。
ではでは
?