かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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良い成績を生み出す組織から会社組織管理を学ぶ危険性

今話題にしても流行りに乗っかったと言われないでしょう。

個人的に流行りものに乗っかるのが好きではないので、今だからこそ考え書いてみたいと思います。

 

ラグビー日本代表が大躍進を遂げました。

その際に、チームマネジメントだの、どうして好成績を収められたのかだの、そういう分析記事がWEBにあふれていたように思います。

 

そういう話って、ラグビーの時だけだったのかというと、そんなことはないのですね。

日本女子サッカーだの、ワールドカップだの。野球だの。

個人スポーツ、例えばマラソンであったとしても、選手本人と監督やコーチとの関係性、シューズにこだわりがあるでしょうからメーカーとの関係性など、

無責任な言い方になりますが、好成績を収めるチームは良い感じに回っている、のです。

 

そんな組織論を、例えば会社の社長さんが自社にそのまま適用すると失敗するんじゃないかなぁ、という話です。

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IT系の人だと馴染み深い言葉です。CMMCMMIですね。
CMMIとは何か?-組織成熟度

場当たり的な仕事から、コントロールを聞かせられるようになり、常に状況を把握しながら改善が継続的に行われるという流れで成熟度が測られます。

 

経営学に知見のある方はSL理論を思い浮かべるかもしれません

スタッフの成熟度に合わせたリーダーシップの図り方を考えるフレームワークSL理論【組織開発】

これは、スタッフ、要するに部下とお考え下さい、の成熟度に合わせたリーダーのとるべき施策を二軸四象限にまとめてあります。
・部下が未熟な場合は、教える。これをやってね、という感じです。
・少し育ってくると、答える。それはこういう意図でこうしてほしいのだと説明します。
・さらに育ってくると、考えてもらう。一時期の流行り、コーチングです。「君はどうすべきだとおもう?」
・最終段階では、任せる。

 

育っているというのは権力者の主観であって、権力者が必要な能力を備えていない場合うまく機能しないものですが、そこは大前提として諦めましょう。
変な人の下についたら、上手くいなしていくしかありません。

説明をもう少し加えます。部下が成熟していくにしたがって、WHAT→HOW→WHYと、抽象化が進んでいることがわかります。

この三段階は、ここそこで見られるもので、例えば税制度であったとしても、学者先生が、そもそもどうあるべきかというWHYを考え、政府の委員会辺りでどうすべきかというHOWを定め法律にし、実際のプレイヤー、例えば経理の人間がWHATを実際にこなす、という流れになっています。

WHYが狂っているとどうにもならないので、それなりの深慮が求められるでしょうし、何よりも、人間は間違えるということを前提にすると、ヤバい時にどのように変更するのかという手順を予め定めておくことが必要になります。

 

そう考えていくと、第一段階、第二段階と組織にラベルを張るのは間違っていて、○○をするときはこのレベルだが、他の時はこのレベル。この人はこのレベルだが、他の人はこのレベルなど、境目は曖昧です。
この記事を読んでくださる方が社会人であれば、そして部下と上司をもついわゆるミドルなのであれば、それなりに賛成してくれるように思います。

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逆に言えば、好成績を狙える成熟した組織というのは、上手く回っている一方で伸びしろが少ない組織と言えるようになります。すべての要素で高得点を出しているプレイヤーという感じです。
そういう組織には弱点が二つ見受けられます。

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一つは成功のジレンマです。

イノベーションのジレンマと言いたいわけですが、必ずしも変革をしなければならないのかというとそうでもないので、ここは成功のジレンマと書いています。

外部環境の変化に気づかず、または気づいていても組織が硬直化しており変化・適応することができない。そういう状況です。

キーワードとしては、「俺たちはこれでうまくやってきたんだ!」。
よろしくないですね。

 

もう一つは、老いる組織です。

年を取るのは人間皆に平等です。老いは概ね能力の低下を意味します。
だからこそ「老いて益々盛ん」なんて言葉は、珍しいからこそ誉め言葉として成り立ちます。
若さを武器とした職種、、、、例えばおしゃれな美容室にしましょうか。
カリスマ美容師なんてのを想像してください。古い言い方ですけども。
10年前のカリスマ美容師、20代後半あたりでしょうか?それが現在では40に手が届く、と。その美容室という組織がどこまで昔のままでいられるのかというと、ものすごく疑問なのですね。美容室では流行を取り入れるのが技術よりも重要であることが多々あるでしょうし、接客も重要な要素でしょう。

これは美容室だけではなく、営業マンもベテランだけよりは若手もいて、フレッシュさに好感を持つ顧客相手には担当にした方がいい。

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前者はわかりませんが、後者は日本の伝統的な雇用慣習である程度制御可能です。

新卒採用です。

新卒を採用することで、真っ白な状況から「うちの勝ちパターン」だけでなく「うちにおける立ち居振る舞いの正解」を洗脳(言葉は悪いですが)することができます。

 

お気づきの方も多いでしょうが、このやり方だとイノベーションのジレンマは解消されるどころか、ますます悪化していきます。

「俺たちは今までこうやって勝ってきたんだ」というやり方で洗脳するわけですので。

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スポーツなどで上手く成績を上げたのは、会社員の寿命に比べてスポーツ選手の寿命が著しく短いという特性が関与しているように思われます。

新しくチームに入ってくる新人に教える「うちの勝ちパターン」が通用する場合が多いのですね。

 

そう考えていくと、スポーツチームが良い成績を収めたからと言って、組織管理の手法をそのまま会社に取り入れるのは著しく危険であると言わざるを得ません。

なぜなら、会社における組織の方が、個々のプレイヤーの意識にばらつきが高く、成熟度にばらつきが高く、現状の、少なくとも日本の経営環境は不確実性にあふれています。

会社ごとの事情は全く変わるし、管理しようとする組織の状況も全く変わる。
そんな中で「あのスポーツチームの監督が言っていた「選手にただ任せただけ、自主性を尊重しただけ」という言葉を鵜呑みにして部下にすべてを任せる」というのであれば、責任者失格です。(そして概ね悪い結果が出ると、責任者は責任から逃げます)

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他の組織のやり方を聞いておくというのも、必要なことではありますが、何よりも自分たちのことを知ることが重要そうです。

そして、成熟度が高くなればそれでいいかというと実はそうでもない組織(従業員はロボットのように上に従いすればいい)という組織もあるように思われます。

 

会社員として働く方は、その組織の目指すところと実際にどういう管理が行われているのかという点が重要になるでしょうし、大なり小なり組織を管理する立場の方はまず組織をどのような姿にしたいのかが重要になるでしょう。

そうなると、好成績を残したラグビーチームのマネジメント手法なんて世間話の種にしかならず、理想と現実に挟まれながら到達するべき目標を考え、それを実行していく手立てを「自分が」編み出さなくてはいけなさそうです。

組織管理というそれ自体は、もちろんある程度抽象化されるので他から学ぶ点もあるように思います。しかし、それをそのまま応用するには一般化されすぎていて、実践的であることは少ないように見受けられます。

 

「あの人が、こう言ってたから」とするのは、仕事と思考の放棄です。
真似ることが意味を持つ場合であればまだしも、それぞれの組織では事情が大きく違うのが普通です。知識を増やすだけの勉強ではなく、対象の組織がどうあるべきかはその権限と責任がある人が考えなければなりません。

 

でも、意外と会社と社会ってこんな理想論では回っていないんですよね。不思議です。

 

ではでは。

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