かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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チャートを見る時の注意

ポイントではありません。注意点です。

 

ここで、ポイントは知ると良い点であって、注意点は知らないと悪い点として使いました。

前者は投資哲学に即して見るべきポイントが違うこともあり、人によってブレます。

後者は誰にとっても、そして投資だけでなく応用が利く話だと思っています。

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シーゲルさんの著書からのグラフです。有名ですね。

こちらを題材にします。

 

注目していただきたい点、二つ。
対数グラフであるということ。
縦軸が米ドルであるということ。

対数グラフは聞きなれない言葉でしょうが、図を見ればわかるかと思います。
10倍100倍となっていますね。横軸は年数でそうなっていません。このようなグラフは特に片対数グラフといわれます。
事実だけを書くのであれば、指数関数的に増加するチャートを直線的に見せるために使用される、ということになります。
では、なぜ指数関数的になるのかというと、世の中は複利で動いているっぽいのですね。対数グラフは天文学、人口など自然なものにも利用されるようです。
世の中は、というか、自然は直線的には変化しない、だから対数グラフで見やすくすることがある、と。こういうことらしいのです。

 

一つ目の説明は終わりました。
次は、二つ目、「縦軸が米ドルであるということ。」について書きます。

 

この図で、一番下、米ドル自体の価値の変化がグラフとして書かれています。
2003年は0.07ドル、7セントということらしいのです。

ドルの価値が下落している、インフレしている、ということになります。
1971年、ニクソンショックの時からはその傾き(通貨価値下落の落ち幅)は顕著です。金との兌換を辞めたからですね。

 

The Inflation Calculator

任意の年の米ドルが、別の任意の年においてはどのくらいの価値かを測定するサイトです。

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1802年の100ドルは、2003年の1269.93ドル。
同じものをそれぞれの年に買えば、2003年では100ドルかかる(そう入力しましたからね)のに対し1802年では9ドル33セントで済む。
グラフと大体整合します。

 

そうなると、上記のグラフは解釈の仕方を間違えてはいけないことがわかります。
縦軸の米ドル自体の価値が下がっているからです。
物差しとなっていないのです。

だから、「縦軸が米ドルであるということ」と書いたのは厳密には間違いで「縦軸が1802年米ドルであるということ。」となります。

そうなると、「1801年(1802年?)に株を買っておけば、2003年には60万倍か、すごいなぁ」という感想にはならないはずです。
より注意深く「まてよ、米ドル自体の価値が下落しているのだから、その分割り引かなくてはならない」となるはずなのですね。

ざっくり、グラフから、株式時価総額の成長を60万倍とし2003年の米ドルの価値を0.07ドルとするのであれば「60万×0.07=42000」です。
先に紹介したサイトの数字を利用すると「60万÷12.6993=47246.70(四捨五入)」

どちらにしても、インフレの進行を勘案した数字は4万半ば、といったところです。

4万2千ドルでもすごいことはすごいですが、60万ドルと比べると桁が違います。
老後に1億円を期待していたら1千万円しかもらえなかった、と例を出すとイメージがしやすいと思われます。

 

このグラフ自体は、間違ったことを書いていません。
ただ、このグラフを例に出して説明する人が「60まんばい、すごいですねー」と言うのは浅慮なのではないかと思うのです。

 

60万倍は名目です。4万倍ちょっとというのが実質です。

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インフレは経済成長していることの裏返しです。ですが、額面だけで考えるのではなく、交換レートとして考える必要があるように思います。

 

何と交換するのかというと、生活用品や奢侈品です。食料品や貴金属です。

お金は便利なものではあるけれど、それ自体は何もしてくれないのでモノと交換する必要があるのです。

お金を株式に替え(株式を購入し)、経済成長の恩恵を受け額面を増やしても、いざモノと交換するときにはモノの額面も上がっているはずです。
経済成長しているからこそ株式投資でその恩恵に預かることができ、経済成長によりインフレが起こるのだから、物価は上がります。

そうなると、実質で考えた方がいいのではないかと私は思うんですが。

違うんですかね?

 

インフレと物価の関係は、ニワトリ卵的な部分もある事は補足しておきたいと思います。

 

ではでは。

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