このカテゴリ「ESGの数値化」では、漠として判然としない、良く言えば「ふんわり」悪く言えば「ぼんやり」したESGという概念をどうにかして数値化できないか?という試みの記録です。進め方としては、なるべく漏れがないように演繹的に行い理想論で進め、まずは自分の考えを現在の知見でまとめつつ仮説を立て、文献などを調べて仮説を検証しつつ現実に合わせる、という流れで行っています。
前回で、
現状における相当大まかな完成形は書きました。
中に出てくる各論的な「監査の客観性を保証する監査」や「変更する手続きを変更する手続き」という入れ子構造の話が個人的に興味深く(何かのパズルみたいで面白くないですか?そうでもない?そうですか)、また、解決策を考えたいところでしたが、記事に起こすまでもなく行き詰まりました。今回はESGとの類似概念を紹介したいと思います。
結構あるんですよ。
先日ツイートを頂きまして
25年前に環境会計と言うものが有りましたが、トーマツが相当頑張ったけど数年のブームで終わりました。
— 森下兼年 (@kane104) 2021年9月15日
こちらに対し返答いたしました。森下さん、アドバイスありがとうございます。
厚かましいお願いですが、今後もアドバイスいただけるようであれば嬉しいです。
はい、環境会計については多少存じております。大学3・4年生の時、自由にテーマを選びなさいと言われた時、環境会計と口にすると担当教官の反応が冷たかったことを覚えています。
— ton (@ton960) 2021年9月15日
現在、フィランソロピー・CSR・コーポレートシチズンシップ・ご指摘いただいた環境会計
これらとの差異を調べ中です
というわけでフィランソロピーです。
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フィランソロピーという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
英語の語感が鋭い方は「フィ」または「phil」という接頭語から「愛に関する言葉だろ?博愛とか。」なんてピンとくるかもしれません。
その通りです。
「フィランソロピー」は、ギリシア語の「フィリア(愛)」と「アンソロポス(人類)」といったことばから生まれました。他者を大切に思う「博愛」や「社会貢献」だけでなく、その先にある「社会課題の解決」も意味し、その主体は一人ひとりの個人です。
と説明されています。
世界では
Top 10 philanthropic foundations: A primer
こんな形で紹介されています。マイクロソフトのゲイツさんをはじめ錚々たるメンツが慈善活動を行っています。一人の日本人としての感覚では率直に表現すると「ぼろ儲けした金を慈善活動に使うのは免罪符を買っている」そのように見えます。一方で「ビジネスの場でライバルに利を与えても何も生まない。なぜなら金の使い方(投資)がうまいからビジネスで勝つのだろうから、それが正しいのであればビジネスで買った人間がより活用できる慈善団体を運営できるはずだ」とも思えます。
どちらも自分ではそれなりに納得できる理屈だと思うのです。
もうちょっと気合が入ったフィランソロピーを行う事業者のリストはこちら
World’s 100 largest philanthropic foundations list
私は記事を書いた2021/09/16現在、全てを読み切れていません。
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私が気になっている部分。特にESGとフィランソロピーとの関係ですが、それは誰しもが気になっている話題のようで、ESG・フィランソロピーとキーワードを打つと「difference」がキーワードとしてサジェストされます。
いくつか記事を読んでみます。
The Difference Between ESG, CSR and Philanthropy
ストレートなタイトルのこの記事では、フィランソロピーは「良い目的に対する寄付」であり、CSRは「良いことをすること」であり、ESGは「良いことをしつつ利益を上げることだ」とされています。ESGに経済性が付加されている以上、逆に言えば、CSRとフィランソロピーには経済性度外視という主張だと理解します。
その流れで見つけたこちらの記事、フィランソロピーとは少し離れますが
CSR, ESG & SDGS: WHAT DO THEY MEAN? WHAT’S THE DIFFERENCE?
こちらの記事では、最初にESGとCSRの違いを説明しどうやら、CSRは個別企業の活動でそれ自体が目的であるのに対し、ESGは基準をクリアし続ける活動である、と。CSRの進化系がESGであり、技術進歩で測定可能になったと主張しています。
私としては忸怩たる思いですが、こちらの方が作成されているESGIndexというものも紹介されています。
話が(いくら脱線大好き私のブログであっても)横道に入りすぎていきますので、CSRとこちら様のESGIndexはまたの機会にします。
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その他、私が費やすことができるコスト内で調べた結果(と事前知識)のフィランソロピーの私の理解は以下のようなものです。
・慈善活動である
・ESGより範囲は狭い
・フィランソロピーはそれ自体が目的である傾向が強いので、経済的合理性を追求する経済体との相性は悪く、NPOと相性が良い
・あえて、フィランソロピーまたはフィランソロピー的活動をESGに当てはめるのであれば、Sに当てはまるのかと考える。が、そもそも経済主体の活動がESGのどれに当てはまるかを考えること自体が、少なくともESGスコアにおいては、ナンセンスだと私は考える。なぜならRSGスコアは観点別の透明性ある調査を成果物として提出し、その各要素の重みづけは利用者が行う事を想定しているから。
・見方を変えれば、税金を納めることもフィランソロピーの一種と言えるのではないか?国よりも自分たちの方がフィランソロピーをうまく行えるというのであれば、国に税金を納めるよりその企業が公的活動を行ったほうが良い。割と真面目にそうしたほうが良いように思う。
例えば障碍者の法定雇用率のニュース 障害者雇用、変革の「戦力」 29道府県が法定雇用率達成: 日本経済新聞 29道府県で達成という事は残り18においては未達成という事です。さらには公的機関における障碍者雇用ですら嘘をついていた問題があります。フィランソロピーやESGの観点だけでなく、特に後者は法令遵守という観点からの不祥事であり、それなら、GAFAMや日本においても大企業が「税金を抑える代わりに障碍者雇用を行う」とした方がよほど透明性が高いと考えます。お役所は検査する側に回ると強いので。
このような感じになります。
真面目にこの分野を深堀されている方からは怒られそうですが、浅く広く何度も繰り返し攻めていって理解を深めて、間違っていたらまた戻ってくるのが現状の方針です。(そうでないと、このESGスコアの作成自体が息切れしてしまいそうです)
何かありましたら参考URLなど根拠を示しつつアドバイスいただければ嬉しいです。
ちなみにYouTubeで「フィランソロピー」と検索するとこれが出てきました。
ではでは。
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