かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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クラウドクレジットさんはどのようにリターンを測るべきだったのか

今回は先日の 

ton96o.hatenablog.com

こちらの記事の続編になります。

上記記事における私の結論としては、クラウドクレジットさんの測り方はマズい、というものです。「それだと言いっぱなしになるなぁ」と思いましたので、どのようにリターンを測れば良かったのかを考えていきます。

 

上記記事の要約としては

・CC社は、月ごとの日米株価指数と、比較対象月に償還されたCC社ファンドのリターンを比較して

 この運用実績につき、当社としましては、当社ファンドが世界的な株価急落時においても、それに影響されにくい商品性を有していることの一端を示していると考えております。

(こちらより、太字は原文ママ

という結論を出しているが、それは間違い

・なぜなら、CC社ファンドはひと月ごとに結果が出るものではなく運用期間は1年や2年というスパンなので、比較対象の期間を合わせるべき

・さらに、比較するCC社ファンドのリターンは単純平均としており、それはCC社のポリシー(全張り)としては理解できるものの、各ファンドの投資額を概算すると全張りしている利用者は少ないと考えられるため、実態とかけ離れているように思える。
CC社ファンドのリターン実績として、当該比較月に償還されたファンドのリターンを単純平均することが正しいと納得できる根拠がない

・ゆえに、上記主張は「株価下落時におけるCC社ファンドの商品性質の説明」とは言い難く、むしろ「下落した株価と、株価下落前の経済状況を反映(円換算時の為替は影響している)したCC社ファンドを比較する小ズルい資料であり、このリターンを出したければ全張りできるだけの金額を投資をしろ、という宣伝」である

というものです。


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本題に入ります。

どのように測るべきだったのか、です。

 

5chねるを読んだところ、同じような疑問に当たっている人が、ダウ・日経それぞれのリターンを前月比でなく13か月・19か月スパンで算出して、CC社ファンドのリターンと比較していました。

こちらをご覧ください。

こちらの書き込みの考え方を前提にすると、結果はその通りで(私も検算しました)CC社に対して厳しい結論になるようです。
CC社は自分たちに有利な数字を出したんでしょうね。

 

この測り方の結論としては、上記リンクの書き込みと同じ結論になります。

ですが、考え方・測り方は私と違います。

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私の考え方の根幹は二つ

1)為替差損益とインカムゲインの元たる利息は分けるべき
2)比較単位を「ひと月」にそろえるべき

です。

 

説明をします。

 

1)為替差損益とインカムゲインの元たる利息は分けるべき

まずこちらですが、理解しやすいかと思います。説明の必要が無いと思うのですが、必要な人もおられると思うので非常に面倒ですが書きます。

CC社ファンドは為替ヘッジが無いものであれば、外貨換算を行い外貨で運用され償還時に日本円に換金されます。

金額で見ていくと、10000円を投資して外貨に(例えば10000円が96米ドルに)換えられます。外貨で利息がジワジワと増えていき、最後の最後で日本円に換金されます。先の例でいえば、96米ドルが利息で105米ドルになり、換金されて11000円になる、という感じです。

冒頭でリンクした過去記事に詳しく書きました。償還月直前でCC社ファンドが影響を受けるのは、主に為替差損益です。インカムゲインの元となる利息は既に大方確定(=実現)しているはずです。だからこそ、早期償還がされた場合に途中までであっても利息を受け取ることができるのですね。

なので、利息は(波はあれど、そしてファンドの性質によれど)投資期間を通じて徐々に作られていくと考えるのが合理的です。借り手が多い場合、返済するタイミングもそれぞれです。借り手はこちらの投資期間を意識することなく、借りた金額に必要な利息をつけて、ご自分のタイミングで返済するでしょう。

であれば、投資期間全体にわたって利息分のリターンが確定(=実現)されるので、例えば12か月の投資期間で12%の利息が実現したのであれば、(簡便的ではあれど)毎月1%のリターンがあったと考えて良いし、償還月(の前月)に為替差損益が確定(=実現)するのでその月に対してのみ為替差損益を実績リターンとして乗せるべき、となります。

 

例示します。

2019/01~2019/12の投資、2020/01確定利息分は12%、投資開始時期と償還時の「投資終了時の為替レート÷投資開始時の為替レート」が0.9(為替差損が出る)だとします。

10000円を投資していれば、10080円になりました。変動分の内訳は利息1200円、為替損として-1120円(負の数にしているのは意図的)。

CC社資料に合わせてリターンを%という単位にすると、2019/01~2019/11までそれぞれ1%。2019/12のみ-10.2%(=1-11.2)です。
利息は、CC社資料に合わせなくとも「%」でとらえるべきだと考えます。
何故なら、外貨で運用されているのがCC社ファンドの特徴であり、それを円換算して実現した値とするのは間違っているからです。(なので、複数回分配ファンドの場合はこの限りではありません)

上記で利息を1200円としているのも、損失を負の数で表示しているのも、ぱっと見のわかりやすさの為です。

 

2)比較単位を「ひと月」にそろえるべき

ここまで読まれた方なら、上記の考えもわかっていただけると思います。

CC社資料では、株価のリターンは前月比という月単位で取っているのにCC社ファンドのリターンは投資期間単位で取っています。
これは、フローを測定する単位が違うので論外です。

例えていうなら、Aさんは18時までに歩いた距離を、Bさんは17時から18時までに歩いた距離を比べるようなものです。Aさんが1時間を超えて歩いているのであれば、そりゃ、Aさんが歩いた距離の方が長いでしょう。
CC社ファンドの運用期間が1か月のものを私は知りません。なので同様に、前月比の株価と比較するのは無理があるのです。
別の例えで。
確かに我々利用者がリターン確定を実感し実際にお金を受け取るのは償還月のみです。運用期間中はお金を受け取りません。その理屈でいうのであれば比較対象である株も、日経やダウのインデックスを購入しそれを売却するまではお金を受け取らないのです。
株は毎月、CC社ファンドは長期でパフォーマンスを測るというのは理屈に合いません。

 

絶対条件として、単位をそろえる事が必要です。

 

5chねるに書かれていた方は、株価のリターン算出に期間を13か月や19か月と長期間にそろえて計算していますしかし、ファンドの期間はある程度規則性があるにしても別個なのでベストでは無いと思います。

なので、ひと月ごと、つまりは毎月のリターンにそろえると、正しくCC社ファンドのリターンと株価のリターンが比較できるはずです。
そしてさらに、投資金額での加重平均が必要です。
CC社ファンド全体としての実績を求めるからです。

100万円投資され10%のリターンを出しているファンドと、1億円投資され2%のリターンを出しているファンドのリターンを単純平均して「うちのファンドの実績は6%です」ということは正しいでしょうか?

そんなわけ、ありませんよね?

そのやり方が許されるのであれば、バクチのようなファンドが乱立します。

償還されたものだけの平均をとればいいのですから、その条件下であれば堅実でお金が集まるファンドを組成するより、ハイリスクな案件を多数用意して事故を起こせば償還も何もせず実績に影響を与えないようにするのが合理的だからです。

 

これらを総合して、具体的例を挙げます。

CC社ファンド、A・B・Cとあったとして、前述のとおり、それぞれのファンドが各月で実現したリターンを算出、加算する時には投資額に応じた加重平均が行われる。

Aファンドは投資期間2018/01/01~2019/01/31(13か月)実現利息13%、投資額1000万円、「投資終了時の為替レート÷投資開始時の為替レート(以下、換算比率)」が0.9(為替差損が出る)
Bファンドは投資期間2018/07/01~2020/01/31(19か月)実現利息9.5%、投資額3000万円、換算比率1.1(為替差益が出る)
Cファンドは投資期間2018/12/01~2019/12/31(13か月)実現利息7.8%、投資額5000万円、換算比率1.05(為替差益が出る)

数字・期間・パフォーマンスは適当に付けました。私の考えている「あるべき論」で計算していきます。

まずは、各ファンドのパフォーマンスを計算します。
Aファンドは毎月1%、2019/01は為替差損が実現するので-10.3%
Bファンドは毎月0.5%、2020/01は為替差益が実現するので11.45%
Cファンドは毎月0.6%、2019/12は為替差益が実現するので5.99%

次に全体としてのパフォーマンスを計算します。
各期間における運用額(利用者にとっては投資額)でパフォーマンスを加重平均すべし、と私は考えているのでした。
なので

2018/01/01~2018/06/30まではAファンドのみなので、各月1%
2018/07/01~2018/11/30まではBファンド加わり、各月は運用額で加重平均して
(1×1000÷4000)+(0.5×3000÷4000)=0.25+0.375=0.625%
2018/12/01~2018/12/31はさらにCファンド加わり、各月は運用額で加重平均して
(1×1000÷9000)+(0.5×3000÷9000)+(0.6×5000÷9000)=0.111+0.166+0.333=0.611%
2019/01/01~2019/01/31はAファンド償還月なので、
(-10.3×1000÷9000)+(0.5×3000÷9000)+(0.6×5000÷9000)=-1.144+0.166+0.333=-0.644%
以下同様に

2019/02/01~2019/11/31は0.5625%
2019/12/01~2019/12/31は3.93125%
2020/01/01~2020/01/31は11.45%

となります。

いかがでしょう?これなら毎月の「前月比株価のパフォーマンス」と比較ができそうです。

 

尚、CC社の計算方法によるのであれば、
2019/01/01~2019/01/31 1.7%
2019/12/01~2019/12/31 13.19%
2020/01/01~2020/01/31 20.45%
これ以外の月は0%

となります。

改めて、利息と為替による実現損益を償還月だけに凝縮することに強い違和感を覚えます。特に2020/01はBファンドの償還月であり為替差益も発生しているので驚異的な数字になっています。19か月かけて稼いだ利息を、この月だけに稼いだことにするという数字の操作をしている、と受け取られても仕方ないでしょう。

さらに、実際投資金額によるパフォーマンスの加重平均の件も見逃してはならないように思います。
私が計算した部分の2019/12/01~2019/12/31はCファンドの償還月ですがBファンドが並行して運用されているため全体のパフォーマンスへの影響はマイルドです。

加えて、会社のパフォーマンス実績を測るのであれば、償還したファンド以外(事故を起こして決着がついていないファンド)も含めて計算するのが妥当でしょう。利息が付くつかないの問題もありますが、償還すべき時に償還されないというのもリスクです。この辺りは正直、今回の記事ではまとめ切れていません。

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上記の考えを前提として、実際にCC社が出している資料から私の考えるCC社の実績を計算しようかと思ったのですが、障壁がありました。

それは、比較しようとする月において運用中のCC社のファンド全てに決着がついていないと、その月のCC社のファンドリターンを計算できない、というものです。
(なので、計算できていません)

 

説明をします。

2020/02現在で、2020/01のリターンを計算するとします。

日経やダウはすぐに前月比が計算可能です。

一方で、CC社のファンドリターンは、2020/01時点で償還される(為替差損益が計算される)ものだけでなく、投資期間中のファンドにすべての利息を投資額で加重平均するため利息がいくらだったのかという実績値が必要になります。

例えば、投資期間2019/07~2020/06というファンドの2020/01時点でのリターンは、上記計算方法を堅持する限り計算できない、ということです。利息総額は2020/06時点で明らかになり、それを投資期間である12か月で割る、という計算をするからです。

ただ、この限界は、私のような利用者の立場だからであって、CC社が本気でリターンの実績を測りたいと願うのであれば、月次で利息分の実績値を出すことはできるのでは、と思います。

中小企業でも普通に月次決算を出してますし、できないわけがないと思うのです。

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というわけで、為替差損益と利息は分け投資額に応じて加重平均し、毎月のリターンで測るのであれば、前月比の株価と比較しても私は納得した、という話でした。

 

何回も引用しますが

株価急落時の当社ファンドの運用実績につきまして

こちらの資料、相当危ないと感じます。

「どんな情報であれ出してくれるとありがたい」という方がいるようですが、私はそうは思いません。数字は作れるし、それを鵜呑みにして世論・雰囲気を作る事ができなくはなさそうだからです。

CC社がこのような測り方を元に資料を作成したのです。今後のパフォーマンスも同様に測り続けないのであれば、それは都合がいい話です。コロナショックの影響はこれからCC社ファンドに発現するでしょう。そうなると、今後も同様の指標で測り続けることで株価急落時も影響を受けづらい商品」なのか「単に影響が遅れて出てくる商品」なのかが明らかになると考えます。

 

本当に影響を受けづらい商品というのは

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こういう商品を言うんです。

 

ではでは

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