かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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ESGを数値化することについて(025)~ESG情報開示実践セミナー途中まで~

相変わらずPDF資料を読み進めているのですが、まだ「301 運用会社におけるESG開示情報の活用について」の手前です。

今回は途中までで許していただきたく。

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というのも、資料をすいすいと読めないのです。納得できないというか「これでいいんだろうか?」と。

ESGは企業が情報を開示するもので、企業はいろいろあっても原則利益を追求する存在です。だから、ESGとはいっても中長期的な利益につながるからやっている事のはずなんです。だったら、ESGと特別感を出さずとも「中長期計画をキッチリやる」これで良いはずなのですよね。

どーも、各社、各省庁、お勉強の成果を出しておいでで、結局それ(ここではESGの活動そのものとその開示を示します)が利益につながるのですかね?というところはスッキリしないのです。

ESG活動やって、PR・IRして、中長期的に利益が増えないんだったら、それは企業として非合理的な行動だと思うのです。ここでいう利益は損益計算書に出てくる最終利益(でもなんでもいいや)のみを表しているわけではありません。が、中長期的にはそこに現れると考えます。なぜならESG活動などでイメージアップが図れれば売り上げが増えるはずですし、環境へ好影響が出るのであれば結果として法「人」としての企業にも好決算という形で数値に反映されると考えます。

「いーや違う。少しくらい損をしても企業が自然や周囲と共存していくのがESGなのだ」という事を言う方がいるかもしれません。その損はなぜ受け入れることができるんでしょうか?私は「共存しなければ中長期的に企業が損をするから」だと理解しているのですが。損をすること自体が目的の訳はないですし、効果を出さなくていいわけもないでしょう。何らかの活動を行うのであれば少しでもいい結果を望むのが当然というものです。ではESG活動の「良い結果」とは?

素晴らしい統合報告書を書くこと?違いますよね?それは手段ですよね?

二酸化炭素排出量を減らす事?女性役員比率を高める事?従業員の有給消化率を上げる事?違いますよね?これらも手段です。

それらをやって、何かいいことがあるからやるんだと思うのですね。

ESG情報開示実践セミナーの資料はよくできていて大変勉強になるのですが、そもそもの部分をすっ飛ばして「手段」の勉強会になっている、という印象は受けました。

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で、ですね。エーザイさんに問い合わせメールを送りました。

マティリアリティ・マネジメントの実践 | 日本取引所グループ

こちらの資料も大変良くできていると思いますし、そもそもこちらに事例として取り上げられているのですから日本企業の中で素晴らしい事例なのだと思います。

だからこそ、といいますか、疑問が浮かんだので質問したのです。

逆に言えば、こういうところで取り上げられたり、詳細な資料を上げなければ私には疑問すら浮かばず「抽象的な事言ってんな」で終わっていたことでしょう。

 

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以下、エーザイさんに送った本文です。

 

エーザイ
はじめまして、***(実際には本名)と申します。ESGに興味がある潜在的投資家です。

マテリアリティ分析とエンゲージメントの実践
https://www.jpx.co.jp/corporate/sustainability/esgknowledgehub/practical-disclosure-seminar/2020-203.html
こちらを拝見しました。
23ページについて、いくつか疑問がありますので、お時間のある時にご返信いただけると嬉しいです。

1)1088のサンプルは十分か?
 動画の説明によると88種類を12年だと単純な乗算で1056になるが、これは例えば「昨年度の」「お取引先件数(単体)」としては1種類しかなく、12年を超えてサンプル数を取得できたものがあるため1088という数になっているという理解で良いか?
同時期同じ性質の数値で複数測定を行い精度を高めるようなものはない、という理解でよいか?
2)説明変数にROEを入れているのはなぜか?
 ROEが入っているとESGのKPIが向上せずとも利益率の向上によりPBRが上がるのではないか?
3)目的変数がPBRなのはなぜか?
 目的変数がROE、説明変数がESGのKPIではいけないのか?
 そもそものPBR、ROEの選定理由は何か?
 (例えば、ROEは残余利益モデルから拝借し、解散価値であるPBRを目的変数にした、等。
  その場合、残余利益モデルにおける株主資本コストは無視できる値だったのか?等)
4)β1、β2の値によって相関関係は大きく変わるのではないか?
 私の理解が間違っている可能性は高いので、β1、β2の値の説明が欲しい。
 資料の補足では納得できない。
 具体的には、β1の値が大きければ、それはROEの及ぼすPBRへの影響という事になる
5)統合報告書を拝見する際に、報道関係者や投資家に対するものであり一般人を対象にしたものではない旨のアラートが表示された
 一般人は御社のESG活動をどのように知るとお考えか?
6)JPXにおける
 https://www.jpx.co.jp/corporate/sustainability/esgknowledgehub/company-disclosure/06.html
 において、同様の資料がさらりと説明されているだけだったのが残念
 参考として統合報告書がリンクされてはいるものの5)で指摘したように一般人を排除しているのが残念。
 これでは、上記URLで納得のいかない一般人は納得できないまま。

以上になります。

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先述の疑問というより、エーザイさんの資料における一部分に関する説明をしました。

内容は、ESGの目標値がPBRと相関しているという資料についてです。

ton96o.hatenablog.com

こちらで突っ込んだ部分でもあります。

 

本文について、質問意図を書いておきます。

・肩書

まず、一般人だと相手にされなさそうだったので、株を買うかもしれない潜在的投資家という肩書で送りました。これは後述しますが、エーザイさんは統合報告書をHPから参照する際に「投資家や報道機関向けです」というダイアログが出るようになっているのです。だから、一般人だと相手にされないかも、と思ったのですね。

ですがねぇ、ESGの活動報告なんて消費者含む一般人を相手にしなくていいんでしょうか?そりゃ機関投資家は大事でしょうし一般人は資料を読み込む前段階の知識が不足していたりするでしょう。そこまで相手にしていたら大変かもしれません。じゃぁ前提知識がない一般人へのESG活動に関するPRは「抽象的な言葉でふんわりイメージを作り上げる」だけなんですかね?私はそれでいいとは思わないんですが。

・サンプル数部分の疑問について

数が少ないなぁというのが引用した過去記事023に時点における印象でした。

この部分を詳細な資料としてみることができたので、例えば2020年度の○○お取引先件数(単体)、という形式のものだと理解できたのですね。「2020年度の○○お取引先件数(単体)」は一つしか結果がありませんからサンプルもクソもありません。

しかし、他に計測すべき要素はなかったのでしょうか?例えば「2020年度の工場におけるカーボンエミッション(平均・昨年比)」なんていかがでしょう?工場が100あれば100だけの数値が出てくるはずですし、コストに見合わないのであれば全数検査はせずにサンプリングという工程が入ります。計測自体の信ぴょう性もあります。さらには「外れ値」の扱いをどうするのかという論点にまで波及します。

「そういうツッコミが嫌だから一元化してるのだ。この例であれば「2020年度の全工場におけるカーボンエミッション(昨年比)」でいいだろう」

良いのかもしれません。良くないのかもしれません。

まずはエーザイさんの返答を待ち、あちら様のお考えを理解したいと思います。

・2)3)4)について。

統合報告書で詳しい説明があったのですが、私には納得しきれないものでした。誤解を恐れず言ってしまえば「y=ax1+bx2」(x1、x2は変数)(a、bは、a+b=1の定数)という関数があったとします。エーザイさんはy軸をPBRとしているのですがそれでいいのか?という話です。この例でいう「ax1+bx2」という変数、一つはESG活動のKPIという事で納得するのですが、もう一つがROEなのです。私にはESGのKPIが増えなくても、ROEの係数が大きかったりROE自体が大きければ結果であるPBRが大きくなるように思えるのです。さらには、ESG活動のKPI自体、どういう内容のものをKPIにするかで変わってきそうですし、広報活動の巧拙にも依りそうです。

エーザイさんはこれらをもって、ESGのKPIはPBR向上に統計的に有意な範囲で有効とおっしゃってます。

・5)6)について

すでにある程度説明していますが、一般人に対する詳細な説明がないのでは?という疑問です。一般人や消費者、もしくは潜在的な消費者や潜在的な株主をどうとらえているのか?ステークホルダーをどうとらえているのか?という問いです。

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というわけで

・各社のkESG情報開示事例を勉強した

・改めて開示事例の目的は何かを考えるきっかけになった

エーザイさんに質問をしてみた

という話でした。

 

エーザイさんが手早く返信を、というかそれ以前に相手してくれるといいなと思います。

 

ではでは。

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