かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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心理学と管理会計の話

管理会計と心理学を融合する試みを耳にしました。
想像を多分に膨らませて、どういう事が考えられるのかを考えてみます。

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まず、会計は財務会計管理会計に分かれます。管理会計の中には原価計算や意思決定会計などが含まれます。

会計=財務会計管理会計

管理会計原価計算*意思決定会計など

です。少なくとも私はそういう認識ですので、以下の話はそれを前提として進めます。

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意思決定会計において心理学が介入して広がる知見は大きいだろうことは大いに想像できます。意思決定なんて、いかにもバイアスが入りそうな名前をしているじゃありませんか?
意思決定会計は、複数プランの中から将来キャッシュフローの予測値などを元にどのプランを実行するのが良いかを判断するという事が目的とされます。割引率や将来キャッシュフローを予測するというのは何とも頼りない。ですが、それを超える何かがあるかと問われれば代替案は無いのが現状だという点も事実だと思われます。であれば、心理学の見地からバイアスを排除することでより正しそうな予測値を算出しそれに基づいた理論を構築することは有益な事と思われます。
それは、経済学に心理学を導入することで行動経済学の知見が得られたのと同様です。

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一方で私は、原価計算の分野においても心理学的な要素は必要だと考えています。具体的に一例を挙げると配賦の問題です。
配賦とは、例えば製造業で工場A・B・Cそれぞれが、共通資源の負担をどの割合で負担するのか?という話です。工場はただそれだけで稼働できるわけではなく、人員の雇用や設備の管理を事務方が行っている事でしょう。その負担割合は製品原価に乗せられ、結果それぞれの向上の業績評価にダイレクトに結びつきます。それぞれの工場長が自分の管轄が有利になるような政争を行うのは(良いかどうかはともかく)必然と言えるでしょう。それは自分やその家族を守るためでもあるし、部下などを守るためでもあります。

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原価計算の分野における心理学の有用性を考えると、意思決定会計のそれとは趣が違う事が理解できます。

それは、納得性です。

実は、これは意思決定会計においても当てはまる点だと私は考えます。
「将来キャッシュフローはこれです」と言ったところで、意思決定するメンバー間で納得が得られないと、ただの理想論や理屈のお話になります。
「意思決定プロセスにより、ABCそれぞれを吟味した結果、案Bに決まりました」と言ったところで、実行するメンバーに納得が得られないと、そのポテンシャルを十分発揮した結果は得られないでしょう。むしろ疑念が高くイヤイヤその決定に従っている場合では悪影響すら懸念されます。

そう言う意味で、心理学的に納得を分析し、それを管理会計に適用するという手法は興味深いと考えます。

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では、今までの経営学や会計分野で心理学的なものが研究されていなかったのかというと、そんなわけはないと考えています。

例えば戦略論理おけるリーダーシップ。これは、メンバーにポテンシャルを十全に発揮してもらうための手法と理解できます。
会計で言えば(まだまだこれからの研究が期待される点ですが)「のれん」がそれにあたる好例だと考えます。のれんとは、会社間の連結において算出される、簿価と時価の差額のようなものです。簿価で資産から負債を引いた値が1億円の会社があったとします。その会社が10億円で買われたとしたら9億円分の「のれん」があったという話になります。超過収益力ですね。それは知名度なのかもしれないし、根強いファンとも言える顧客を持っていることかもしれないし、天才的な開発陣を雇用していることかもしれないし、強力な営業人を擁していることかもしれません。「のれん」と「納得性」がどう関係するかというと、それは課税や配当、従業員への労働分配率など、ステークホルダーに対する説明責任へと発展するからです。

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ということで

管理会計に心理学が介入する余地は大いにあり有用だと考えている
・それを一言いうなら「納得性」の問題だと考える
・知ってか知らずか、経営学においてもその観点は既に盛り込まれていると考えている

という話でした。

 

ではでは。

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