株式投資をしている方は大勢いらっしゃいます。
毎年の配当や優待を楽しみにしている方は多いでしょう。
そういう方からすると、インデックス型投資信託の「分配金が無いことは良いことだ」という論調は奇異に映るようです。
今回はその話を書きます。
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インデックス投資をする際、ある指標に同調した値動きをするように投資信託の組成を低コストで行ってくれるものを選べばいいのでした。
一方で、毎月配当が出るようなものは、世間でも私の見解でも選択しない方がいいように思います。
なぜなら、再投資に回せる利益部分を投資家に拠出することで純資産部分が減り、さらにはその配当には税金がかかるからなのですね、
毎月配当型の投資信託であっても、配当部分を再投資することはできます。が、普通配当の場合、再投資されるのは税金控除後のものであり、ざっくり8割部分しか再投資されません。
「配当を行う」という事務自体にコストがかかっているでしょうから、長期保有を前提としている投資家からすると、「わざわざ手元に金額を戻さず、投資信託の内部で再投資に回してほしい」のですね。
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「株式の場合は?配当金が出るところが多いじゃない?」
おっしゃる通りです。
冒頭に書いたように、それを楽しみにしている方は多いでしょうし、高配当株は人気があります。
一方でこのような株があります。
最近、著名なウォーレンバフェットさんが「価値を誤っていた、安い」と評したアマゾン株です。
バフェット氏「アマゾンは『割安株』」4万人総会で語る (写真=AP) :日本経済新聞
アマゾン株は、配当金を出さないことで有名です。
https://money-laboratory-ryoma.net/us-stock-amazon-amzn/
配当金を出さないで何をしているのかというと、再投資に回しています。
経営者は重要な利害関係者である株主にはこのように説明しています。
「うちは配当を出さない。税金がかかるからだ。投資をし経営を上手くやることで企業価値を上げ株価に反映させる。株主にはキャピタルゲイン(配当ではない株式自体を売買することによって得られる利益)によって報いる」
まさに、インデックス型の投資信託の運用と同じ理屈です。
配当は税金の二重取りですので
(やっぱりおかしい配当二重課税 松井証券社長・松井道夫氏|マネー研究所|NIKKEI STYLE)
今後の税制が変わるかもしれませんし、アマゾンさんのような動きが増えるかもしれません。
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ここでこのようなご意見をお持ちの方もいるかと思います。
「内部留保を吐き出せ、という意見をよく聞くが?」と。
会計の面から言えば、貸借対照表の貸方、純資産の部を内部留保と言っているのだと思います。
それは、貸借対照表に計上されているから「遊んでいるカネ」とは言えません。
貸借対照表の借方、資金の使途を見るべきなのですね。
現預金保有率がそれなりに納得がいく数値であれば、企業が設備投資に回している証左ですし、現金を多く持っていたとしても、例えば労働分配率が高いのであれば従業員に対して「報いて」いるわけで、ESの向上から今後の業績が向上する期待があるわけです。
従業員満足から顧客満足が生まれるといわれています。顧客が満足すれば時間はかかりますが株主も満足する結果になるでしょう。
なので、法人税を払った後のカネを、株主に吐き出せ、というのは一面的な言い分です。
企業それぞれの長期戦略があるのであれば、そちらにカネを回されることは致し方ないことではあり、むしろ、長期的に見れば(そして経営の腕が良いのであれば)配当という形で分配されず再投資に回された方が株主にとっても株価の向上という形で報われるはずなのです。
ただ、無為に現預金をため込む企業もあります。
そして、経営の腕が良いか悪いかは、最終的には結果で判断されます。
結果は水物です。
そのため、分散が利いているインデックス型投資信託とは違い、企業の配当の有無はその企業の経営が適切かという観点が非常に大きな意味を持ちます。
経営の専門家である経営者と企業の所有者である株主の、健全な議論が期待されるところです。
会計が情報提供機能だけでなく、利害調整機能を果たし、議論の土台となればと思います。
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まとめます。
配当(や分配金)がないというスタイルは、効率的な再投資を行うための最善策。
なぜなら税金分を差し引かれないため。
インデックス型投資信託の場合は、運用の委任という観点が無いため分配(株式でいう配当)がないことが望ましい。
一方で株式の場合、株主は企業判断を経営者に委任しているため配当は利確の意味を持つ。
そのため、配当がない企業の株式を購入し持ち続けるという事は、経営者の腕を信頼し、企業の成長を信じ、企業の資本投下方針に賛成していることと同義である。
ではでは。
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