かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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低コストなインデックスファンドを購入する私はフリーライダーなのかもしれない

フリーライダーとは、直訳、タダ乗りのことです。

 

果たすべき義務を果たさないのに、権利だけは享受する人を指します。

ton96o.hatenablog.com

こちらで紹介した本では、労働組合がある会社において加入しない社員が例に挙げられています。 

 

上記を借りて具体的に説明すると、労働組合に入らない労働者は組合費を払わず組合の活動に自分の時間を使われることもない。一方で、組合が会社との交渉によって勝ち得た気分のいい職場環境などの権利は一方的に享受可能。

そんな感じです。

 

投資信託に当てはめて考えると、私はフリーライダーなのかもしれないと思ったのですね。

 

以下、どういうことか、順を追って説明します。

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まず、株式は何だと思います?

会社の社員たる地位のことです。持ち分を均等に細分化してそれを証券として流通させたものが株式です。会社の所有権のパーセンテージです。

 

だから、起業家にとっての一つのゴールである上場は、創業者のオーナーシップという面からすると、自分の所有権を減らす行為でもあります。

 

法律の面で33%や過半数等という線引きで、いろいろとできる事が変わります。

持ち株比率の重要性 −株主の権利

 

ぶっちゃけると、一般的な個人が投資できる範囲であれば、会社に影響を与えることはなかなか難しいように思います。

 

しかし、多くの一般人から資金を集めた投資信託ではどうでしょう?

 

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投資信託は、株や債券など金融商品に対して投資を行う金融商品です。

今はインデックス投資信託に人気が出ています。日経平均S&P500という指標に対して投資をするのですね。

それは具体的には、指標に対する著作権料を払いつつその指標に合致する株式構成を行い、集めた資金を投資する、という手順で実現されます。

なので、日経平均から外れた会社があったり逆に新しく参加する会社があれば、その株式は売買されます。

 

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この記事におけるテーマとして問題にしたいのは、そのような株式に対する投資信託です。

その議決権の行使はどうなっているのか、どうあるべきなのか、です。 

 

現状としては

投資信託が保有する議決権 | 投資信託の投信資料館

投資信託保有している株式に付帯する議決権については、投資信託委託会社(=運用会社)が代表して権利行使を行うことになっており、投資信託の受益者(=投資家)に議決権は与えられていません。

という話らしいのです。

(上記私のツイートで引用している記事内容はETFですが、似たようなものです)

 

では、現状だとどのようなことが起きるのでしょうか。

 

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議決権の集中です。

 

良い面としては、会社に対して調べる時間も、どのように議決権を行使すべきか知見がない一般人も、企業価値の最大化を狙う専門家に委託できます。

悪くいってしまうと、一人一人が知恵を絞って考え意思決定すべき権利を放棄しています。「俺、わかんないもんね」と、開き直っています。

また、議決権を行使できる主体が、必ずしも投資家に対してプラスになる行動をするとは限りません。穿った見方をすれば、意思決定者なんて限られているわけですから、微妙な議案を通したい会社は袖の下を使うなんてこともあり得るわけです。

 

良いことも、悪いことも想定できます。

どうあるべきかという、理想を考える前に現実を知っておくのも重要なことだと思います。

 

また、REITに関して言えば

REIT、初の「敵対的M&A」 カギ握る当局の判断 :日本経済新聞

法令で投資家が議決権を行使しない場合「賛成」と見なすことを認めているためだ。

敵対的買収にREIT恐々 総会で意図せぬ議決も: 日本経済新聞

REITの投資主総会(企業の株主総会に相当)を規定するのは会社法ではなく投資信託及び投資法人に関する法律。総会開催までの過程や議決権の取り扱いが異なり、敵対的買収が成功しやすいとの課題も出ている。

リート初の「敵対的買収」意外な結末の一部始終 | 不動産 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

さくらとみらいは「みなし賛成が適用されていれば、われわれの合併提案が可決されていた」と悔しさをにじませる。だが、みなし賛成がなくてもスターアジアとの合併提案が可決された事実は、さくらとみらいに重くのしかかる。

こういう決まり・いきさつがあり、結果、合併されます。

REITも株式同様の投資方法がある以上、投資信託として投資を行う場合、議決権をほかのだれかに委任している(判断するという仕事を押し付けている)状況は同じようなものです。

 

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今年、外国人経営者の問題で、コーポレートガバナンスが、再度、日の目を見ました。

(何度日の目を見ているのかわかりません。きっとまた5年後あたりにコーポレートガバナンスは大事だという記事が出るんだと思います) 

 

「しっかりやってくれよ」という声はまさにその通りで反論する気はありません。

しかし、最終的にコーポレートガバナンスを健全に保つためには株主がしっかりしなくてはいけないように思うのです。

 

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投資信託を購入する立場からすれば、運用会社に「それぞれの企業に対し、企業価値を上げるべく議決権を行使してくれ」という声はまさにその通りで反論する気はありません。

 

しかし、投資信託、特にインデックスファンドの競争力の源泉は低コストである事です。商品の性質自体にはベータ以外競争力はありません。機能は同じです。

インデックスに対してキッチリ連動しコストが安いものが、現在良いインデックスファンドといわれているのですね。

投資信託ランニングコスト、信託報酬は「委託会社」「販売会社」「受託会社」の三社に分けられていることが普通です。

委任会社に冒頭の要求をお願いするのであれば、その分報酬が必要であり信託報酬が上がることを覚悟すべきです。

これは、逆に言えば、(純資産にもよりますが)信託報酬が低いファンドだけを選択するのであれば、それは「健全な議決権行使はどうでもいいから安く運用してくれい!」という意見の表明に他ならないのでは?

 

心ある主体が、会社の時価総額最大化に対し健全な議決権の行使を行うため、調査などを行いコストを払った、としましょう。資金が集中して大株主なわけです。調査も意思決定も慎重にやりましょう。

一方、議決権は権利なので行使しなくてもいいわけです。コストをかけたくない主体が議決権を行使せず、他の誰かが上手くやってくれるだろうと高をくくっていたとすれば、先述の主体が払ったコスト分を節約できます。インデックスファンドとしての強みを向上できるのです。

結果、議決権の行使に頭を悩ませるなんて馬鹿らしい、ということになります。

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というわけで、現在、良しとされているインデックスファンドを選ぶことは、他の誰かが頭を悩ませて向上させた企業価値をかすめ取っていくフリーライドになるんじゃないか?という話でした。

 

実際のところはどうなんですかね? 

キッチリ意思決定された議決権行使をしているのであれば、「そんなのどうでもいいからコストを安くしろ(フリーライドしろ)」という人はいるでしょうし

無茶苦茶な議決権行使をしているのであれば、「企業価値向上に資する議決権行使をすべきである」という人はいるでしょう。

インデックスファンドはその性質上、前者の人が多いように思います。

フリーライドしろ、というセリフは過激です。表に出しずらいので文言は変わると思いますが。

 

基本的に、経営者は株主から経営のプロとしてそれを委任されています。(会社と役員の関係も委任です)

だから、健全に企業価値を最大化することがされて当たり前だともいえます。

ところが、現実は違うわけで。

チェックが必要なわけで。

そのチェックを社外監査役等だけに押し付けるのも、理想の姿ではない気がします。

 

投資信託を購入する以上、一般の投資家が単元株以上の株式数を持つ事はないでしょう。(大金持ちは知りません)単元株未満であれば議決権はありません。だから投資信託を購入している一般投資家は議決権のことを考えなくて良いのかもしれません。

しかし、だからといって、開き直るのも違うんじゃないかな?と思ったりしています。

 

フリーライダーが発生する原因は、悪い制度設計にあると私は思っています。

より健全な企業経営が実現できる仕組みはあるはずです。

 

ではでは。

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