先日
こちらにて、仮想通貨の価値向上について 書きました。
今回の記事では、コンセンサスアルゴリズムの違いによってネットワークにもたらす価値が違うのでは?という観点から考えます。
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広く知られているのが、PoWはネットワーク外からも参入可能でありPoSはネットワーク参加者のみが参入可能であることです。
これは、換言すると、マイニングは法定通貨(FIAT)を仮想通貨に換えることであり、PoSは(売却を含めた)使用機会を仮想通貨に換える事だと思えます。
具体的には、
BTCを持っていない人が、マイニングマシンを購入し電気代を払ってマイニングをすることでBTCを手に入れられます。
一方で、PoS通貨はそうはいかず、何らかの方法(交換所での入手やエアドロップ)にて仮想通貨を入手し、それをステイクすることでPoS通貨を手に入れられます。
マイニングは(人件費や部品交換大を含めた)FIATをハッシュパワーに換え、仮想通貨に換える行為だと解釈しています。
ステイクは、当該PoS通貨を使用できるはずだった機会を、コンセンサスアルゴリズムに投じることで新しく当該PoS通貨を入手する行為だと解釈しています。
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では、それらがどのような価値向上につながるのか。
マイニングによるハッシュパワーの向上は、当該PoW通貨のセキュリティの向上に寄与します。
転じて、電気代から算出されるFIATの額が、当該PoW通貨の理論価値だという話もありますが、私はそう考えていません。
PCのCPUでそれなりの枚数を掘ることができた時代ならともかく、現状でのマイニングは大規模な設備投資を必要とし、成果を上げるまでに時間のずれがあるからです。
つまり、設備投資をしてハッシュパワーを大量に費やしたとしても、市場での需要が薄れ価格が下落することはありうるように思うのですね。
ハッシュパワーの流動性は低く、また、価格の先行指標になり得るといってもいいでしょう。
将来的に、クラウドマイニングではなくハッシュパワーのみが提供されるサービスができると、ある時にはマイニング、ある時には何らかの別のサービスの演算リソースに使うという事ができるようになります。その時ハッシュパワーは、より、当該PoW通貨の価格をリアルタイムに近く算出することが可能になるように思えます。
とはいえ、ハッシュパワーが提供されることは、実体としてセキュリティが向上すること(51%攻撃に耐えうるコストを提供されていること、このネットワークは守るべきと評価されているという事、つまりは価値があると認められていること)と同義です。
セキュリティの向上は、当該PoW通貨における価値のすべてではなくとも、重要な一部であることは確かです。
一方、PoSについて。ステイクするという事は、それなりの期間当該コインの使用を禁じられるに等しい行為です。市場に流通する枚数は減るので需要が一定であれば価格は上がります。
価格は上がっても購入する人がいるという事は、その使途にそれだけの価格が付くという事です。
使途とは、PoS通貨をステイクによって得られるという事・PoS通貨を使用するサービスを享受することです。
持っていない人が買っても、持っている人がステイクで増やしても、最終的にはPoS通貨の使い道が意味があるのか?という点に行きつきます。
だから、最終的にはPoS通貨の理論価値は、それを利用することで得られる便益の価値に収束するように思えます。
気を付けなければならないのが、流通枚数との兼ね合いです。
ステイクは、いつでも外せるとはいえPoS通貨をロックする行為です。
「今は、使い道がない、もしくは、ショボい。しかし将来的には大きな便益を享受できる可能性がある」PoS通貨保持者がそのように考えれば、多くの人が使うのではなくステイクに回すのではないでしょうか?
それにより流通量が減り、価格は上がります。
また、ステイクはコストが少ないという性質があります。そのため環境にやさしい一方で、ステイクする側に回りやすいという状況が生まれるように思います。
それが正しいのであれば、流通枚数が安定しないため、価格は乱高下しやすくなります。
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上記で、PoW・PoSそれぞれのコンセンサスアルゴリズムでもたらされる性質をまとめてみました。
本記事の主題であるコンセンサスアルゴリズムがもたらす仮想通貨への価値をまとめます。
PoWの場合、大規模な設備投資が必要なマイニングが必要となるので、そのニュースや実際のハッシュパワーがFIAT建ての価格に対する先行指標となり得ます。
それによりある程度は流通量が安定し、FIAT建ての価格が安定しやすいように思えます。流通量の増減にともなく価格の変動が起こりにくいのですね。
ただし現在のマイニングは、資本を投じるだけの資本家のみがコントロールできる行為である点は留意しておかなくてはなりません。
マイニングによってFIATをハッシュパワーに換えることで、仮想通貨を得ることができます。
これは当該PoW通貨のセキュリティを上げる行為であり、その価値向上に貢献します。
また、ネットワーク外の人、例えば利用できる交換所がないが、マイニングはできるという人が仮想通貨を入手できるコンセンサスアルゴリズムでもあります。
インターネット上の価値の媒介物を得られる人が多くなるという点は十分に価値があると言えます。
PoSの場合、ステイクに参加しやすく退出しやすいという特徴がある。ゆえに市場に出回る流通量は一定せず、価格はその流通量の増減による乱高下を起こしやすいと解釈できます。
しかし、これは、当該PoS通貨の将来への期待を含めた投資家心理を(相対的に)リアルタイムに市場に反映することにつながります。
使った方がいいと判断すれば、FIATを仮想通貨に換えて使うし、使うまでもないが将来性があると判断すればステイクに回すし、将来性が無ければそもそも買わないし持っていたとすれば売却が行われるからです。
「持てる者がさらに富む仕組みである」(貧富の差が広がる)という批判があるようです。
貧富の差が広がることがいいか悪いかの議論は置いておき、悪いことだという前提で進めます。
私見では、FIATを持てる者と当該PoS通貨を持てる者がごちゃ混ぜになっているように感じます。
PoSで持てる者がさらに富むのは、当該PoS通貨を持てる者です。
FIATを持てる者がさらに富むのは、リスクが大きくなりはしますがPoWでも同じです。むしろ、大規模な設備投資を行うにはFIATを大量の持っていなければ難しい。
この観点から考えても、PoSがもたらす価値として、価値測定のリアルタイム性が挙げられるように思います。
「持てる者がさらに富む仕組みである」のは、PoWでもPoSでも同じであり、むしろ参入と退出の自由度が高いPoSの方が投資家(利用者を含む)心理をリアルタイムで市場価格に反映できるのではないでしょうか?
また、マイニングを行わないためエコです
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私はどちらのコンセンサスアルゴリズムに傾倒しているわけでもありません。
まだ混迷期であり黎明期だと思うので、色々やっていくといいと考えています。
現状の、コンセンサスアルゴリズムの違いで、それぞれの仮想通貨にどのような違いがあるか、私の考えをまとめました。
PoWにおける、ハッシュパワーの先行指標という性質を指摘し、流通量面でのFIAT建て価格の乱高下は起こりにくいと書きました。
PoSにおける、自由度の高さとステイクに伴う流通量の変動が相対的に高いことを指摘し、FIAT建ての価格はよりリアルタイムで市場に反映されやすいと書きました。
(時価(公正な価格)が市場を通して、素人にもすぐにわかる点は、メリットであり価値です)
今後、ビジネスとしてのブロックチェーンが交流し、コンソーシアムやプライベートチェーンが流行ってくると思います。
その際にはPoA等、別のコンセンサスアルゴリズムが出てくるでしょう。
それは今回の話とは別です。
今回はパブリックチェーンにおけるコンセンサスアルゴリズム、二大巨頭のPoWとPoSがもたらす価値はなんぞ?という点を書きました。
ではでは。
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