かんがえる、かがんでいる人

考えたことをまとめます。

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新技術と宗教の話

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ton96o.hatenablog.com

いつも書いている仮想通貨ニュースで、インドネシアの仮想通貨のニュースを取り上げました。インドネシアでは仮想通貨は資金としてではなく、商品として扱われるとのことです。また、インドネシア人口の9割がイスラムであることから、教義と仮想通貨の不和が、当該国内での仮想通貨の興隆を妨げているのでは?というコメントをいたしました。

 

今回は、仮想通貨にとどまらず、宗教と新技術の関係について考えたいと思います。

 

SWOT分析というものがあります。

これはマーケティングの世界でかなり有名なフレームワーク(お決まりの思考方法)です。

軸を「強みと弱み」「外部環境と内部環境」に分けます。

内部的な強みをストレングス

内部的な弱みをウィークネス

外部的な強みをオポチュニティ(機会)

外部的な弱みをスレット(脅威)

として、どのようなものがあるのかを分析します。

 

ただ箇条書きにするだけではもちろんだめです。

ここで重要なのは、内部環境と外部環境の分け方。

もっと言ってしまえば、内部環境はコントローラブルであり、外部環境は自分ではどうしようもない事。

そこでPEST分析が出てきます。

世の中の流れを、「政治」「経済」「社会」「技術」の観点から分析しましょう、というフレームワークです。

これはモロに外部環境ですね。

 

私たちは、PEST分析を行い、外部環境を見つめ、次を予測しつつ、自分でどうにかできる強みを生かすことを考えなければなりません。

 

さて

では、宗教は何に当たるでしょうか?

私の考えですが、PEST分析でいうところの社会に当たると思われます。

私が考えるに、社会の役割って分業にあると思うのです。

その中では良かれ悪しかれ「常識」を身に着けることが必要です。 

分業により自分が得意な仕事をやる事ができ、そこには通貨の介在により価値の移転が可能でなければならず、それを運用していく社会にはその構成員にふさわしい前提条件としての常識が必要です。

ton96o.hatenablog.com

教育は、その教育を施す相手が生きていくであろう社会において、つまはじきにされないよう(=社会で生きていけるよう)必要な「常識」を身に着ける作業です。

分業化された中で専門化した個人は、社会からつまはじきにされると自分だけでは生きていくことができないからです。

効率化を求めて分業を選択したことは、個人が個人として生きる力を弱体化させたのです。

その「常識」には文化的なもの、宗教的なものも含まれます。

宗教はしばしば政治にも利用されました。

さらには、そのドクトリンを利用することで他人を攻撃する道具にさえなったのです。

 

その宗教が社会に与える影響は大きいもので、例えばインドではカースト制度というものがあります。

これは、インドにおける士農工商制度と理解していただければと思います。

実際には、バラモン、クシャトリア、バイシャ、スードラ。そしてそこには入れないバリアです。手塚治虫さんのブッダという漫画で概要をつかむことができます。

インドのカースト制度は「人種差別」。カースト廃止を望まない被差別層もいる現実[橘玲の世界投資見聞録]|橘玲の世界投資見聞録 | 橘玲×ZAi ONLINE海外投資の歩き方 | ザイオンライン

このような記事がありました。

なるほど、それなりの合理性があるのですね。

インドと言えばヒンズー教を思い浮かべる方もいるかもしれません。

ヒンズー教では牛を食べることは禁忌です。それをある経済学者はこう評していました「やせた土地では牛を労働力として使役した方が経済合理性が高いヒンズー教は神の乗り物として牛を大事にするという神話を用いて経済合理性を確立した」

宗教はそれ自体が政治や経済に影響を与えますが、経済や政治の要求が宗教を求めている論理もあるようです。

 

インドではカースト制度があり、カースト制度の下ではいくつもの職業があります。

カーストとヴァルナ

そのカースト制度の下では、「親が金持ちであればよい教育を受けられるので子もいい職業に、そうでないものにはそうでない職業に」という日本でもありがちな論理だけでなく、もう少し強制力のある世襲制があったようです。

しかし、ITが興隆したことでそれは変わりました。

カースト制によってインドの職業が細分化されたのか

カースト制度の下に職業が規定され、その職業は世襲であった。しかしカースト制度規定された時にはなかった職業がある。それがIT関連の職業

IT関連の職業は、インドでは成り上がりの光なのです。

そのような事情と、英語が第二言語と定められていることも相まってインドではIT産業が盛んになりました。仮想通貨もいろいろとあるようですが、規制が厳格化されれば優秀な技術者は海外にその活躍の場を移すでしょう。

 

ここまでの話をまとめますね。

・個人でどうにもできないものに、宗教は関与する

・新しい技術は、宗教における大前提(常識)を覆すパワーを持ちうる

 

では、イスラム圏と仮想通貨の話に入ります。

イスラム圏で仮想通貨使用は広がるか|ビットコインは「イスラム貨幣」に適合 | 仮想通貨まとめ

こちらがまとまっていたので引用させていただきます。

イスラム圏で仮想通貨が容認されたというニュースが2018年4月前半に出され仮想通貨の価格が全体的に上がったことがありました。

 

シャリーアについては 

ton96o.hatenablog.com

こちらで指摘しています。イスラムの教義です。

 

その際に改めてイスラム圏での仮想通貨についてピックアップされたのが以下の事項です。

シャリーアはルールの集合体ではなく複数の解釈が存在する

イスラム教圏も仮想通貨に踏み出したいっぽい

 

イスラム圏(Islam)でも仮想通貨が拡大?イスラム圏のポテンシャルとは 【国家】 | コインオタク

こちらの記事を引用させていただきます。

現状仮想通貨が投機の対象であることは賛成しますが金融工学の産物なんでしょうか?

ま、いいや。

かなり詳しくまとめられています。

特に「イスラム圏の可能性」の部分をご覧ください。キリスト教が世界人口の三割。イスラム教は世界人口の23%、大体四分の一

イスラムが仮想通貨に本格的に流れてくると、市場規模が大きくなり仮想通貨の、特にメジャーアルト+BTCは価格が上がると思われます。

思うんだけどな。どうかなっ!!?

 

まとめます。

・宗教は個人にとってアンコントローラブルなものだが、社会や政治・経済に影響を与えるだけでなく、その逆、社会や政治経済の影響も受けていた

・新技術により、宗教で規定された常識を打ち破ることは可能

・実利は教義の解釈に影響を与えうる

 

会計ビッグバンが起きた時、商法学者は整合性をとるのに相当頭を悩ませたそうです。

今回は、イスラム教の学者の方に頑張っていただきましょう。

 

色々やってみると、できることとできない事がわかるので良いと思います。

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