かんがえる、かがんでいる人

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クリプトエコノミクスの感想文~補足~

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先日書いたクリプトエコノミクスの感想文に関する補足をします。

私が言っているのはそんなに高度な事ではありません。
「一つの見方であり、他の解釈に触れるのも良い」というアドバイスは頂きましたが、おかしなことはなさそうなので、できる限りお伝えします。

 

今一度、読んでくださっている方に私が理解している部分・私の解釈をお伝えするとともに、私自身、自分の考えを整理をしたいと思います。

 

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さて

まずは、ベン図で表していきたいと思います。

世の中全体を対象とするのが既存の経済学、エコノミクスです。

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その中において、
「こういう価値の見方、世の中の見方もあります」と定義し、
そこで振舞うべき行動の道筋を定め、
「まぁ、おおよそ普通の人が考えればこう動きますね」と、参加者それぞれが自分のために行動した結果、その世界がうまく回るようにデザインします。

そのデザインすることが、暗号経済学であるといえるようです。

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そのデザインの好例は、PoWでありトークンエコノミーですが、それは暗号経済学の一部分であって具体例のようです。

この場合のデザインは、作り出すというよりも世の中の見方でありperspective(意図して英語で書きました)であり、何を重要視するかというポイントの絞り方、濃淡の付け方という方が適切かなぁ、と思います。

 

なので、経済学は、社会の法則を見つけるゲーム理論的な考え方であり帰納法です。
一方で、暗号経済学は、社会の法則をデザインするメカニズムデザイン的な考え方であり、演繹法的アプローチです。

(なぜ、演繹法でなく演繹法的アプローチかと言えば、全てを規定しかねるからです)

 

暗号経済学でデザインする世界は

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複数存在します。

最小の複数という事で二種類で考えます。

まず、それぞれの円は線で囲まれています。その線に注目すると、具体的にはFIATペッグのstableCoin(もしくはCBDC)であり、中央集権型取引所であり、オラクルです

それが暗号経済学で作り出した社会が、経済学(既存社会)で上手く折り合いをつけるという事で、それら折り合いをつける手段を考えるのも暗号経済学の一分野だと思います。

 

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私の考えでは上記の図はこのように分かれます。

1)既存経済学

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2)左側の、暗号経済学でデザインされた社会(A社会)

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3)右側の、暗号経済学でデザインされた社会(B社会)

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それらが、透明の下敷きを三枚重ね合わせたような、

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その結果としての

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なのです。三つの世界を重ね合わせて上から見た様子だとご理解ください。

左の円と右の円が重なっている「積集合の部分」があります。

これは一つの世界においてあってはいけません。それはMECEで考えられておらず 

ton96o.hatenablog.com

世界の再構築を必要とします。逆に言えば、全てを知り、予測し作ることが難しいのであれば、作られた世界は 再構築することを前提とした方がいいかもしれません。

この予測不可能性に、心理学や行動経済学、そして学問に昇華しきれていない現実(勘違いや一時的な感情、経済合理性で説明できない行動や、バイアス。常識・前提条件の齟齬)があるように思えます。
私は理論は現実の一部を切り取ったものであり、だからこそ意味があるし、だからこそ前提や背景を理解しておかなくてはならないと考えているからです。 

ton96o.hatenablog.com 

ton96o.hatenablog.comton96o.hatenablog.com

であれば、社会を再構築することがあるかもしれない、という前提を置いて、その時の移行をスムースにする手順を、あらかじめ考えておくとよさそうです。

 

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さて、

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ですが、左側のA社会と右側のB社会が重なり合っている部分があります。

これは、どちらの社会にも所属している人を表します。その社会Aと社会Bをつなげるのが、クロスチェーンであり、それはCOSMOSでありZRXであり、BNTだったりするのかなぁと考えています。(別々に独立してデザインされた、社会Aと社会Bの積集合に見える部分です)

既存社会と、デザインした社会の境界が興味深い研究対象であれば、こちらも負けず劣らず興味深い研究対象になると思います。

 

また、このように考えていくと、多くの社会に所属している人は、それだけ価値を得られるように考えられます。
その結果としてプラスサムゲームという優しそうな世界になるイメージを持つかもしれません。
私はゼロサムゲームだと思います。
突き詰めて考えると人間の根本的な希少資源は人生であり時間であるからです。
これを増やすことはできませんので、ゼロサムです。

あるサービスを利用する時間は他のサービスを利用できません。

自動BOTを使えるのであれば、皆使います。

 

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それぞれの社会で流通する価値移転媒介物は、cryptoBackedなものでした。だからこそ暗号経済学です。

そして前回の記事で私は 

ton96o.hatenablog.com

クリプト部分は手段であって他のものでも良いのでは?と書きました。

なので、私の考えでは、暗号技術でなくともうまく社会をデザインできる手段があればそちらでもいいなと思うのです。人工経済学(artificialEconomics)とでもします。

人工経済学はsomethingBackedな世界で、そのsomethingの一つがcryptoです。

人工経済学は暗号経済学を包括します。

現状で、暗号技術以外に、有用で枯れた技術があるかというと代案がないので、人工経済学≒(ニアリーイーコール)暗号経済学です。

 

ここは結構こだわっています。それには理由があります。

暗号経済学の根本部分を「社会を新しくデザインする事」だと理解しているからです。

その社会では何に価値を置き参加者の行動にどのような道筋を用意するのか。

それらをデザインする事自体に暗号技術を利用するのは有用ですが、それ以外でもいいのでは?と考えたからです。

 

経済学が社会全体という自然を対象とするのであれば、暗号経済学という人工物を対象にするものと対比できるかもしれません。

一方で、人間も自然の一部である以上、人工物も自然の一部と言えるでしょう。アリが作ったアリの巣を「自然物じゃない」という人は多分いません。ただ、手が込んでいるか否かだけです。

であれば、経済学は暗号経済学を包括したうえでの理論構築を余儀なくされます。

 

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最後に

私の理想のシステム(ITシステムだけではなく、仕組み)は外部環境の変化に自動的に適応する仕組みです。 

ton96o.hatenablog.com

なので、理想のシステムの設計は、トヨタの改善における自化や身近な例で言えば、子供の自立させるための親の教育に例えられます。

ここで注意しなくてはいけないのが
・設計者の常識や文化が介入する
・理想が実現した場合、予期しない出来事が起こる可能性がある
という点です。

後者はコンピューターの反乱(極端な例ではターミネータースカイネット)のように考えていただいて結構です。

前者はともかく後者はまずいので、重要なのは
・できることは最小限にしてリリースしていく(結果として適応も相対的に容易)
・複雑な事はレイヤーを分けておく(責任分担を分離)

レイヤーを分けておけば、どこまで非中央集権でここからは中央集権制が伴う、ここからは特定の誰かの責任、と分離ができます。

 

総じて、二次元が三次元になったように軸が一つ増えたなぁ、と思います。

では、私は少額決済や、別のクリプトエコノミクスの見方を勉強したいと思います。

ではでは。

 

 

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